日本大百科全書(ニッポニカ) 「サムソンとデリラ」の意味・わかりやすい解説
サムソンとデリラ
さむそんとでりら
Samson et Dalila
フランスの作曲家サン・サーンスのオペラ。3幕4場。『旧約聖書』「士師記」に伝わる古代イスラエルの英雄サムソンの物語に基づく、フェルディナンド・ルメールのフランス語台本による。1877年に全曲がワイマールで初演された。メゾ・ソプラノ(デリラ)を主役にした数少ないオペラの一つであり、とりわけ第2幕の「あなたの声に私の心は開く」は広く親しまれている。独唱が活躍する第2幕を、合唱が中心となる第1、第3幕が囲む構成となっているが、全体としてみると、物語のドラマ性よりも、魅力ある旋律と色彩豊かな管弦楽法によって生み出される異国的な雰囲気に重点が置かれているといえよう。
[三宅幸夫]