旧約聖書の《ヨシュア記》と《サムエル記》の間にある歴史書。3部分から成り立つ。第1部は1章から2章5節までで,イスラエル諸部族のカナン定着の状況を語る。《ヨシュア記》と同じテーマを扱っているが,内容はだいぶ違う。第2部は2章6節から16章までで,士師たちの業績について語る。一般にオテニエル,エホデ,デボラ,バラク,ギデオン(エルバアル),エフタ,サムソンの7人を,彼らの英雄的行為のくわしい記録のゆえに〈大士師〉と呼び,わずかな記録しか持たない5人の〈小士師〉と区別するが,この区別が本質的なものかどうかについては学説が分かれている。イスラエルの背信と苦難,それを救った士師の登場が周期的に繰り返されたとする記述は,《士師記》を最終的に編集した申命記派歴史家に由来する。第3部は17章から21章で,ダン族の移住と,ベニヤミン族に対するイスラエル諸部族の戦いについて語り,士師時代を王政前の混乱した時代として描く。
執筆者:石田 友雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
『旧約聖書』中第七の書で、歴史書。紀元前1200年ごろから前1030年ごろまでにイスラエルの宗教連合部族共同体(アンフィクチオニーamphiktyonie)で活躍した士師、つまり「裁(さば)き司(づかさ)たち」judgesについての歴史文書である。本書は前文、本文、後文の内容構成になっているが、そのうち本文(2章6~16章31)には明らかに前6世紀前半の「申命記」的史家の編集付加が認められる。本文には12人の士師たち、敵から民を救った解放者である6人の「大士師」と、ほかに6人の「小士師」が登場するが、彼らは昔から部族の英雄口碑に伝承されていたものである。そのほかに女性預言者「デボラの歌」(5章2~31)は実にアンフィクチオニー時代の前1100年ごろに成立した。したがって「士師記」は歴史的にも貴重な資料であるとともに、神の霊感を受けたカリスマ的指導者が外敵を駆逐し、イスラエルの部族を神の意志としての法によって裁き、導いた経緯を物語る信仰の書でもある。
[吉田 泰]
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