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士師記 ししきShofetim; Book of Judges

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

士師記
ししき
Shofetim; Book of Judges

旧約聖書中の一書。マソラ本文では前預言書4巻中の第2書,セプトゥアギンタでは歴史書の第3書。モーセに率いられてエジプトを脱出したイスラエル民族が歴代の士師と呼ばれた民族指導者たちのもとに現在のパレスチナの地に侵入し,先住民族との苦しく,長い戦いを通して徐々に征服していく過程を記したもの。ヨシュアの死からサムエルの生誕 (前 1200頃~1070頃) にいたる。内容は3部に分けられ,導入部 (1・1~3・6) に続いてオテニエル以下サムソンにいたる 12人の士師の物語が述べられ (3・7~16・31) ,最後にダン族の移動とベニヤミン族との戦いの物語が付加されている。この書の原型は,前6世紀頃に『申命記』編者たちがいくつかの伝承を集成したものと思われ,そのなかにはイスラエル民族最古の歌の一つとされる「デホラの歌」 (5章) も含まれている。神の律法に対するイスラエル民族の不従順,罰としての異民族による圧迫,士師による救済が本書のテーマである。

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世界大百科事典 第2版の解説

ししき【士師記 Book of Judges】

旧約聖書の《ヨシュア記》と《サムエル記》の間にある歴史書。3部分から成り立つ。第1部は1章から2章5節までで,イスラエル諸部族のカナン定着の状況を語る。《ヨシュア記》と同じテーマを扱っているが,内容はだいぶ違う。第2部は2章6節から16章までで,士師たちの業績について語る。一般にオテニエル,エホデ,デボラバラクギデオン(エルバアル),エフタ,サムソンの7人を,彼らの英雄的行為のくわしい記録のゆえに〈大士師〉と呼び,わずかな記録しか持たない5人の〈小士師〉と区別するが,この区別が本質的なものかどうかについては学説が分かれている。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

士師記
ししき
The book of judges

旧約聖書』中第七の書で、歴史書。紀元前1200年ごろから前1030年ごろまでにイスラエルの宗教連合部族共同体(アンフィクチオニーamphiktyonie)で活躍した士師、つまり「裁(さば)き司(づかさ)たち」judgesについての歴史文書である。本書は前文、本文、後文の内容構成になっているが、そのうち本文(2章6~16章31)には明らかに前6世紀前半の「申命記」的史家の編集付加が認められる。本文には12人の士師たち、敵から民を救った解放者である6人の「大士師」と、ほかに6人の「小士師」が登場するが、彼らは昔から部族の英雄口碑に伝承されていたものである。そのほかに女性預言者「デボラの歌」(5章2~31)は実にアンフィクチオニー時代の前1100年ごろに成立した。したがって「士師記」は歴史的にも貴重な資料であるとともに、神の霊感を受けたカリスマ的指導者が外敵を駆逐し、イスラエルの部族を神の意志としての法によって裁き、導いた経緯を物語る信仰の書でもある。[吉田 泰]

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