古代イスラエルにおけるカリスマ的指導者(神の賜物(カリスマ)としての特別な力を与えられていると共同体成員によって信じられている人物)であり、通常「裁(さば)き司(づかさ)」judgeとよばれる。彼らは、紀元前12~前11世紀の間、いわゆる士師時代に、イスラエル共同体内に起こる軍事、民事および刑事などの諸問題を裁いた。しかもこの職務は、王国制度下の王とは異なって、恒常的・世襲的なものでなく、原則として臨時的・個人的なものであった。『旧約聖書』「士師記」によれば、英雄的解放者としての性格を有する大士師と、裁判人・仲裁者として性格づけされる小士師とが区別される。オテニエル(3章7~11節)、エホデ(3章12~30節)、デボラ(4~5章)、ギデオン(6章1節~8章32節)、エフタ(10章6節~12章7節)およびサムソン(13~16章)などは前者に属し、シャムガル(3章31節)、トラ(10章1~2節)、ヤイル(10章3~5節)、イブザン(12章8~10節)、エロン(12章11~12節)およびアブドン(12章13~15節)などは後者に属する。『旧約聖書』「ルツ記」には、陪審員のような機能を果たす士師(長老たち)についての記述がある(4章)。
[定形日佐雄]
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
ヨシュアの死から王国成立までの間,イスラエルの民を軍事的・政治的に導いたカリスマ的指導者。「裁く」という動詞の派生語なので「さばきつかさ」と訳されることもある。彼らの生涯と事績を記したのが旧約聖書の「士師記」で,そこにはデボラ,ギデオン,サムソンなど12人があげられている。王国成立後,彼らの役割は王と預言者に受け継がれた。
出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…この時代に,イスラエル人はヤハウェ信仰による共同体意識を保持していたが,政治的統一組織は持たなかった。各部族は強い自治意識を持ち,外敵に攻められた危急の場合にのみ,士師と呼ばれるカリスマ的軍事指導者の下に集合して地方的部族連合を形成したが,士師の支配権がその子孫に継承されることは認めなかった。しかし,海岸地方に定着した海洋民族フィリスティア人(ペリシテ人)が,内陸に向かって勢力を拡大してくると,もはやこの種の緩やかな部族連合では対抗できなくなった。…
…《ヨシュア記》と同じテーマを扱っているが,内容はだいぶ違う。第2部は2章6節から16章までで,士師たちの業績について語る。一般にオテニエル,エホデ,デボラ,バラク,ギデオン(エルバアル),エフタ,サムソンの7人を,彼らの英雄的行為のくわしい記録のゆえに〈大士師〉と呼び,わずかな記録しか持たない5人の〈小士師〉と区別するが,この区別が本質的なものかどうかについては学説が分かれている。…
…モーセに預言者的要素が強いことは彼についての旧約聖書の記述にさかのぼり,歴史的に考えてもある程度にこれを認めうる。モーセ時代に続くいわゆる士師の時代に輩出した〈カリスマ的指導者〉士師に預言者的要素が強いことも当然であるが,そのような預言者的伝統を受けて士師時代の終り,王国時代の初めに活動したサムエルに狭義の預言者の最初の活動を見いだしたい。預言者はイスラエルにおいて,その歴史の危機の時代に一回一回に登場し,しかもその危機は士師の場合のように局地的なものでなく,国家の政治的危機を前提とする。…
※「士師」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...
11/21 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新
10/1 共同通信ニュース用語解説を追加