日本大百科全書(ニッポニカ) 「サルターティ」の意味・わかりやすい解説
サルターティ
さるたーてぃ
Coluccio Salutati
(1331―1406)
イタリアの人文主義者、文学者、政治家。1375年より没年までフィレンツェ共和国の書記として活躍、当時の政治、文化に多大の影響を与えた。自由な市民生活が都市国家存立の基盤であることを信条とし、古典研究で得た学識、古代の哲学者の教訓を意志力をもって実生活に生かそうと努めた。またフィレンツェの自由を脅かす外敵、他国の領主に対しては筆を武器に敢然と立ち向かい、敵から恐れられた。一個人のなかで雄弁と学問と実践とが統一されたまれな例である。古典をラテン語の翻訳ではなく原典より読むことを重要視し、市に公開のギリシア語講座を開設した。自らもキケロの書簡の発見者として高名。
[在里寛司]