フランスの外交官、詩人。本名アレクシス・サン・レジェ・レジェAlexis Saint-Léger Léger。カリブ海のグアドループ島に生まれる。そこで過ごした幼少時のことは、最初の詩集『讃(さん)』(1911)のなかで、緑したたる世界として追想されている。1899年、農園経営が悪化して、一家は本国へ引き揚げる。ボルドー大学で学び、1916年から外交官として北京(ペキン)に赴任。その間にゴビ砂漠を旅行した経験が、壮大な『遠征』(1924)となって実を結ぶ。
第二次世界大戦に際して、主戦論のため外務省を追われ、アメリカに亡命。その地で、自然の諸力による希望の回復を歌う『流謫(るたく)』(1942)、大地と詩作の偉大さを繰り広げる『風』(1946)、海と愛との宇宙的なリズムに波打つ『航路目標』(1957)などの代表作を発表し、世界的な名声を得る。これらの作品は叙事詩的なリズムによる長編の散文詩で、人類のあらゆる活動分野を喚起している。さらに時間に打ち勝つ人間の喜びの歌『年代記』Chronique(1960)を書く。その年ノーベル文学賞を受賞。20世紀の悲劇的な状況のなかで、彼はなおも宇宙に内在する事物への讃歌を唱えた。
[小副川明]
『J・P・リシャール著、渋沢孝輔訳『サン・ジョン・ペルス』(『現代詩11の研究』所収・1971・思潮社)』▽『多田智満子訳『サン・ジョン・ペルス詩集』(1975・思潮社)』
フランスの詩人。本名レジェAlexis Saint-éger Léger。フランス領アンティル諸島のイレ・タ・フーユに農園主の子として生まれ,ボルドーで学び,クローデルの知遇を得て外交官となり,中国に長く勤務したのち本省の事務局長となったが,第2次大戦に際してドイツに対し強硬論を唱えて解任され,1940年にアメリカに亡命した。処女作《頌歌》(1911)や中国奥地の体験による《遠征》(1924)ですでに高い評価を受けていたが,その後公務に専念,亡命後に《流謫(るたく)》(1942),《雨》(1944)などを発表して20世紀最大の詩人の一人に数えられるにいたった。その詩風は,存在の根源に直面する孤高の思いを,格調の高い朗々たる散文に盛ったもので,ほかにも《風》(1946),《航路標識》(1957),《年代記》(1960)などの大作がある。現代の詩が,主として反抗や欲求の中に未来の解放をめざしているのに対して,彼の詩句には過去の重みがあり,時代よりもむしろ永遠を書きとどめている,と評される。1960年度のノーベル文学賞を受けた。
執筆者:安藤 元雄
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1887.5.31 - 1975.9.20
フランスの外交官,詩人。
元・フランス外務省事務総長。
イレ・タ・フーユ島(フランス領アンティル諸島)生まれ。
本名Marie René Auguste Alexis Léger。
別名Saint Léger Léger。
弁護士の家庭に生れ、ボルドー大学で法学を修めるかたわら詩作を志した。1914年フランスの外交官試験に合格し、’16〜21年北京に駐在した。’33〜40年フランス外務省事務総長を務めたがミュンヘン協定に反対したためその職を解かれ単身米国に亡命した。’41年ワシントンの国会図書館顧問となる。’57年帰国した。’60年その詩集に対しノーベル文学賞が授けられた。主な作品に「頌歌」(’11年)、「年代記」(’60年)、「鳥」(’63年)等がある。
出典 日外アソシエーツ「20世紀西洋人名事典」(1995年刊)20世紀西洋人名事典について 情報
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