サンドバーグ(読み)さんどばーぐ(英語表記)Carl Sandburg

日本大百科全書(ニッポニカ) 「サンドバーグ」の意味・わかりやすい解説

サンドバーグ
さんどばーぐ
Carl Sandburg
(1878―1967)

アメリカの詩人。1月6日、中西部のイリノイ州に貧しい移民の子として生まれ、さまざまな職業についた。シカゴに移住して同地の『デーリー・ニューズ』紙の編集委員となり、V・リンゼーやE・L・マスターズら中西部出身の詩人たちと交流。新興都市のたくましい姿を歌い上げた自由詩「シカゴ」を含む『シカゴ詩集』(1916)によって、一躍、中西部を代表する詩人と認められた。その後、相次いで『煙と鋼鉄』(1920)、『おはよう、アメリカ』(1928)、『然(しか)り、民衆』(1936)などを出し、『全詩集』(1950)でピュリッツァー賞を受ける。都会の風景を庶民的語り口で大胆に歌い込むスタイルは、ホイットマンに通じる。政治信念でもホイットマンに倣ってリンカーンに傾倒し、『リンカーン伝』4巻(1939)によってピュリッツァー賞を受ける。またアメリカ各地を回ってフォーク・ソングを集め、その普及にも努めた。『アメリカの唄(うた)ぶくろ』(1927)とその『続編』(1950)の2冊のアンソロジーがある。黒人詩人L・ヒューズは彼の影響で民謡調の詩を手がけるようになった。1967年7月22日死去。

[新倉俊一]

『安藤一郎他訳『ディキンソン、フロスト、サンドバーグ詩集』(1968・新潮社)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「サンドバーグ」の意味・わかりやすい解説

サンドバーグ
Sandburg, Carl

[生]1878.1.6. イリノイ,ゲールズバーグ
[没]1967.7.22. ノースカロライナ,フラットロック
アメリカの詩人。スウェーデン系移民の子として生れ,種々の職業につき,アメリカ=スペイン戦争に従軍,その後郷里のロンバード大学に学んだ。 1913年シカゴに出,14年には口語俗語を交えホイットマンを思わせる自由詩形を用いた「シカゴ」を『ポエトリー』誌に発表,2年後にその詩をはじめ,中西部のさまざまな自然を歌った『シカゴ詩集』 Chicago Poems (1916) を出版,S.アンダーソン,ドライサーらシカゴ・グループの中心詩人と目されるにいたった。以後玉蜀黍 (とうもろこし) の皮むき』 Cornhuskers (18,ピュリッツァー賞) ,『煙と鋼鉄』 Smoke and Steel (20) ,『全詩集』 Complete Poems (50,ピュリッツァー賞) などがある。また,リンカーン研究者としても著名で,『リンカーン-大草原時代』 Abraham Lincoln: The Prairie Years (2巻,26) ,『リンカーン-南北戦争時代』 Abraham Lincoln: The War Years (4巻,39,ピュリッツァー賞) がある。ほかに各地の民謡や伝説を集めた『アメリカ民謡集』 The American Songbag (27) ,自伝『常に若いよそ者たち』 Always the Young Strangers (53) など,著書多数。

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