マスターズ(読み)ますたーず(英語表記)Edgar Lee Masters

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マスターズ」の意味・わかりやすい解説

マスターズ
Masters, Edgar Lee

[生]1868.8.23. カンザス,ガーネット
[没]1950.3.5. ペンシルバニア,フィラデルフィア
アメリカ合衆国の詩人。ノックス大学に 1年学んだのち父のもとで法律を学び,シカゴで弁護士を開業。第一作の詩集『詩の本』A Book of Verses (1898) 以来,1911年頃までに 10冊に及ぶ詩集を発表したが認められなかった。1915年に『スプーン・リバー詞華集』Spoon River Anthologyを発表,一躍名声を博した。これは,中西部の架空の町スプーン・リバーの墓地に眠る死者たちがそれぞれ過去を語る形式の自由詩で,その鋭い批判精神は S.アンダーソンらに多大の影響を与えた。ほかに評伝『人間リンカーン』Lincoln the Man (1931) ,自伝『スプーン・リバーのかなた』Across Spoon River (1936) ,詩集『イリノイの詩』Illinois Poems (1941) など。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「マスターズ」の意味・わかりやすい解説

マスターズ
ますたーず
Edgar Lee Masters
(1868―1950)

アメリカの詩人。最初法律を学びシカゴで弁護士を開業したが、文学への情熱は絶ちがたく、独学でラテン語、ギリシア語を学び、哲学イギリス文学に親しみ、そして1898年には最初の詩集を出版した。彼を一躍有名にしたのは『スプーン・リバー詞華集』(1915、改訂版1916)である。アメリカ中西部の架空の町スプーン・リバーの墓地に眠る240名ほどの死者たちが、それぞれに自分の過去を語るという設定のもとに、自由詩の形式で因襲的な田舎(いなか)町の生態を容赦なく描くこの長詩は、リアリズム文学の傑作として脚光を浴び、S・アンダーソンやS・ルイスの先駆となった。しかし彼がその前後に出版したおびただしい詩集はいずれも世間の注意をひくことができず、わずかに『人間リンカーン』(1931)でアメリカの自由をリンカーンがだいなしにしてしまったと論難して評判になった。

酒本雅之

『衣更着信訳『世界名詩集大成11 スプーン・リヴァ詞華集(抄)』(1959・平凡社)』

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