日本大百科全書(ニッポニカ) 「ザッパー」の意味・わかりやすい解説
ザッパー(Karl Sapper)
ざっぱー
Karl Sapper
(1866―1945)
ドイツの地理学者。ミュンヘン大学で自然科学を専攻した。1890年、中央アメリカに渡航し、グアテマラ、メキシコなどに数年滞在したのち、西インド諸島を含む各地の調査を行った。1907年から、チューリンゲン、ストラスブール、ウュルツブルクなどの各大学の地理学教授を歴任。中央アメリカを主とする火山現象の自然地理学的研究に業績をあげ、熱帯における気候順化に関する多くの論文を発表した。研究成果のうち、世界の文化圏の区分は有名で、ゲルマン、ラテン、スラブ、西アジア、インド、東アジア、大陸の内部、アフリカ、マレー、オーストラリア、北極の11に分けて、その特色を明らかにした。1914年(大正3)桜島火山の大噴火研究のため来日した。
[市川正巳]
ザッパー(Agnes Sapper)
ざっぱー
Agnes Sapper
(1852―1929)
ドイツの女流児童文学作家。ミュンヘンに生まれ、1898年に夫を失ってウュルツブルクに移住。1892年に最初の少女小説集が刊行された。長編『一年生時代』(1894)もなお教育的少女小説にとどまるが、『小さなおばかさん』(1904)に始まり、代表作『愛の一家』(1907)を経て『生成と成長』(1910)に至る、音楽教師プフェフリング一家の物語は、大家族ゆえに経済的に苦しみながら、助け合ってけなげに明るく生きていく市民の一家庭を描いて大成功を収めた。
[関 楠生]
『植田敏郎訳『一年生時代』(1954・創元社)』