ざます(読み)ザマス

デジタル大辞泉 「ざます」の意味・読み・例文・類語

ざます[助動]

[助動][ざませ・ざましょ|ざまし|ざます|ざます|○|○]名詞、または名詞に準じる語に付く。丁寧に断定する意を表す。…でございます。…です。→ざあます
わちきやあ、こんなおみくじは嫌ひざます」〈人・梅児誉美・六〉
[補説]「ざます」(動詞、助動詞とも)は、「ざんす」の音変化とも、または、「でござります」の音変化ともいう。江戸後期、主として、江戸吉原で用いられた遊里語。現在も女性語として用いられることもある。

ざま・す[動]

[動サ特活]「ある」の意の丁寧語。多く補助動詞として用いる。→ざあます
「何でもよう―・す」〈人・春告鳥・初〉
[補説]活用は助動詞「ざます」に同じ。江戸後期、主として、江戸吉原で用いられた遊里語。現在も女性語として用いられることもある。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「ざます」の意味・読み・例文・類語

ざます

〘助動〙 (活用は「ざませ・ざまし・ざます・◯・◯・◯」。体言やそれに準ずる語に付く) 「だ」の意の丁寧語。…です。…でございます。江戸末期、江戸吉原の遊女ことば。現代では、上流有閑階級の女性の上品ぶった語として使用される。
※新内・里空夢夜桜(夜桜)(1761頃)「フウ、おやおや、おやおや、さうざますかえ。それはまあお仕合せ」
人情本春色梅児誉美(1832‐33)初「またお長さんのことざますか」
[語誌](1)天保頃(一八三〇‐四四)に江戸吉原の遊女ことばとして発生・普及したとされるが、語源に関しては二説ある。「ます」の盛行により「おざんす」から「ざんす」を経て「ざます」となったとする説と、「ござります」からの転訛とする説とである。
(2)「春色梅児誉美」以降、人情本中に用例を多くみるが、使用者は大半が「おいらん」で、次いで「しんぞう」というように限られている。また、「ざます」は「ざんす」「ざあす」「おざんす」等と並行して使われており、待遇上の区別は見いだし難い。
(3)天保末年には「なます」とともに江戸吉原の遊女ことばの代表となり、「安愚楽鍋‐二」で花魁が使用しているところから、明治初年頃まで専ら遊女によって使用されたと見られるが、その後インテリ女性が好んで用いるようになり、現代の女性語「ざあます」につながる。

ざま・す

〘自サ特活〙 (「ざんす」の変化した語) 補助動詞として用いられる。「ある」の意の丁寧語。ございます。
※人情本・春色梅児誉美(1832‐33)後「世話をして上げゑしたのが、私(わちき)のあやまりでざますから」

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