シェロー(読み)しぇろー(英語表記)Patrice Chéreau

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シェロー」の意味・わかりやすい解説

シェロー
Chéreau, Patrice

[生]1944.11.2. レジニエ
[没]2013.10.7. パリ
フランスの演出家,映画監督。高校時代から演劇活動を開始,19歳のときビクトル・ユゴー作『介入』L'Interventionを演出して人気を博し,ソルボンヌ大学を退学して演劇に専念する。1971~77年国立民衆劇場,1982~90年ナンテール・アマンディエ劇場の共同監督を務め,挑発的な演出活動を続けた。1976年バイロイト音楽祭(→バイロイト祝祭劇場)でリヒアルト・ワーグナーの『ニーベルンゲンの指輪』を演出した際,背景をドイツの神話的時代からヨーロッパの産業革命時代に置き換え,独創的なマルクス主義解釈(→マルクス主義)を行なって観客に衝撃を与えた。しかし公演は成功裏に終わり,その後のオペラ演出に演出家が大胆な解釈を加える道を開いた。映画監督としては,『王妃マルゴ』La Reine Margot(1994,カンヌ国際映画祭審査員賞),『インティマシー親密』Intimacy(2001)などを手がけた。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「シェロー」の意味・わかりやすい解説

シェロー
しぇろー
Patrice Chéreau
(1944―2013)

フランスの前衛演出家。パリ郊外レジニェに生まれる。中学時代から学生演劇俊才として注目され、1967年レンツ作『兵士たち』の演出で青年劇団コンクールに優勝。その後リヨン市第八劇場に招かれて、浮浪者を舞台の周りにたむろさせた『ドン・ジュアン』や、オデオン座の『リチャード2世』の演出は大胆さによりスキャンダルとなるが、さらに1976年バイロイト音楽祭の『ニーベルングの指環(ゆびわ)』四部作の演出は、国際的なスキャンダルとなった。ナンテール文化の家所長として、ジュネの『屏風(びょうぶ)』など野心的な演出を試みるほか、オペラや映画など多彩な活動を続けていた。

[利光哲夫]

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