日本大百科全書(ニッポニカ) 「シシウド」の意味・わかりやすい解説
シシウド
ししうど / 猪独活
[学] Angelica pubescens Maxim.
セリ科(APG分類:セリ科)の大形の多年草。茎は高さ1~2メートル。葉は大形で2~3回3出羽状複葉、裏面の脈上に毛がある。葉柄の基部は鞘(さや)状に膨らむ。8~10月、径50センチメートルに達する傘形の大形の散形花序をつくり、白色花を開く。果実は楕円(だえん)形で長さ約8ミリメートル、広い翼がある。山地の草原に生え、本州、四国、九州に分布する。根を独活根(うどこん)と称し、薬用とする。アマニュウは本種に似るが、葉に毛が生えないこと、花柄の基部に小総包葉があることで区別される。
シシウド属は北半球を中心に110種あり、日本には前種のほか、本州から沖縄の海岸に生えるハマウドA. japonica A.Grayをはじめ19種が分布する。属名のAngelicaは、本属の1種が強心剤として死者をよみがえらすほど著しい効果があるということから、天使を意味するラテン語angelusにちなむ。俗にアンゼリカとよぶ洋菓子の材料(色づけ、香りづけ)はヨーロッパの高山に生える別種A. archangelica Hoffm.の茎や葉柄を砂糖漬けにしたものである。
[門田裕一 2021年11月17日]