日本大百科全書(ニッポニカ) 「シュンガ朝」の意味・わかりやすい解説
シュンガ朝
しゅんがちょう
Suga
古代インドの王朝(前185ころ~前80ころ)。初代プッシャミトラはマウリヤ朝の軍司令官で、紀元前185年ごろ主君を殺して王権を奪い、北インドのかなり広い領土を支配した。彼はベーダ的儀式(古代インドの神話的祭式)であるアシュバメーダ(馬祠祭(ばしさい))を再度行って、バラモンの宗教と文化を尊重した。仏教側の伝説によれば、彼は仏教徒を迫害したというが、その領土では、バールフトの遺跡にみられるように仏教建築が盛んであった。だが、当時、南には新しい勢力が興り、西北からは異民族が侵入したために、この王朝はマウリヤ朝ほどに強大ではなく、前80年ごろ大臣バスデーバに滅ぼされ、カーンバ朝にかわった。
[山崎利男]