日本大百科全書(ニッポニカ) 「シンジュ」の意味・わかりやすい解説
シンジュ
しんじゅ / 神樹
[学] Ailanthus altissima Swingle
ニガキ科(APG分類:ニガキ科)の落葉高木。ニワウルシ(庭漆)ともいう。高さ10~20メートルに達する。葉は互生し、大形の羽状複葉で長さ40~70センチメートル。小葉は6~12対あり、卵状長楕円(ちょうだえん)形で長さ5~13センチメートル、先は鋭くとがり、基部は左右不同で1、2対の鋸歯(きょし)があり、鋸歯の先に大きな腺体(せんたい)がある。雌雄異株。6月ころ、枝の先に長さ20~30センチメートルの円錐(えんすい)花序を頂生し、径約8ミリメートルの小さな緑白色花を多数開く。花弁は5枚、長楕円状披針(ひしん)形で基部に白色の毛が密生する。雄花は雄しべ10本、雌花には5心皮の子房がある。果実は翼果、披針形で長さ4~5センチメートル、薄い羽根の中央に種子がある。中国北中部原産で、日本には1877年(明治10)ころ渡来した。名はドイツ名のゲッタバウムGötterbaum(神樹の意味)に基づく。英名はtree of heaven(天の木の意味)。成長は速く、庭園樹、街路樹として広く植栽される。繁殖は実生(みしょう)または根から出る新苗を株分けする。
[小林義雄 2020年10月16日]