改訂新版 世界大百科事典 「シンジュ」の意味・わかりやすい解説
シンジュ
tree of heaven
Ailanthus altissima (Mill.) Swingle
中国北部原産のニガキ科の落葉高木で,高さ20mに達し,根を傷つけるとひこばえを出す性質がある。秋の紅葉が美しいので,ニワウルシともいう。樹皮は平滑で浅裂し,若枝は赤褐色で柔毛を散生する。葉は互生し,奇数羽状複葉,長さ45~90cm,もむと少し臭気がある。小葉は13~25枚,卵状披針形,長さ7~12cm,膜質,先端はとがり,基部近くに2~4個の鋸歯があり,歯端に1個の腺がある。多くは雌雄異株で頂生の円錐花序は長さ10~30cm。花期は夏。花は単性,時に両性で,緑白色で径7~8mm。おしべは10本,めしべは5心皮からなり,柱頭は5裂する。果実は翼果,長楕円形で長さ3~5cm。現在は日本をはじめ欧米各国で栽培される。庭木,街路樹にする。材は淡黄色で光沢があり,建築,車軸に用いられ,優秀なパルプ材となる。若葉は塩蔵して食用にし,また葉をシンジュサンの天然飼育に用いる。根皮や樹皮は血圧降下の効があり,収れん剤ともなる。
執筆者:初島 住彦
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報