日本大百科全書(ニッポニカ) 「シンフェロポリ」の意味・わかりやすい解説
シンフェロポリ
しんふぇろぽり
Сiмферополь/Simferopol'
ウクライナ南部、クリミア自治共和国の首都。人口34万4000(2001)。クリム(クリミア)山脈北麓(ほくろく)の乾燥した平野に位置する。モスクワからの直通列車が発着し、CIS(独立国家共同体)主要都市と空路でも結ばれる。クリミア観光の基点で、当市からクリミア南岸の多くの保養地へは長距離トロリーバスが通じている。農産物缶詰、ぶどう酒醸造、香油・香水などの製造、食肉、乳酪製品、たばこ、トリコット製品などの軽工業が盛んであるが、食品工業用プラント設備、テレビ受像機などの工場もある。また、総合大学ほか2校の高等研究教育機関、3劇場、郷土博物館、絵画館が置かれている。市の起源は古く、紀元前3世紀には古代ギリシア植民地ネアポリスが存在し、のちタタール人の要塞(ようさい)ケルメンチクが構築された。さらに15世紀にはトルコの要塞アク・メシェットがつくられ、これが直接の起源となり、1784年に市制を敷いた。
[渡辺一夫]