日本大百科全書(ニッポニカ) 「シーギリヤ」の意味・わかりやすい解説
シーギリヤ
しーぎりや
Sigiriya
スリランカ(セイロン)のポロンナルワの西約30キロメートルの樹林地帯にそびえたつ、高さ約180メートルの岩山。「獅子(しし)の山」を意味し、壁画で有名。カッサパ王Kassapa(在位478~496)が父王を殺害し、その配下の仕返しを恐れて城を築いた。その周囲に堀や土塁を巡らし、頂上には岩をうがって築いた宮殿や貯水槽の跡がある。岩山の西の中腹の細長いくぼみに、厚く漆食(しっくい)を置き壁画が描かれている。極彩色で、上半身を雲の上に現し、豪華な装身具を身に着けた女人の群像である。宗教画か、単なる風俗画か、またいつごろの作か確証はないが、インドのアジャンタやバーグの壁画との関連から、5世紀末ごろの制作と考えられている。1982年に「古代都市シーギリヤ」として世界遺産の文化遺産に登録されている(世界文化遺産)。
[永井信一]