ポーランドのモダニズム運動〈若きポーランド〉期の代表的作家。没落貴族の子として当時のロシア領キエルツェに生まれた。《われらをついばむカラスたち》(1895)など初期の作品には,社会問題を中心的テーマとするなどリアリズムの影響がかなり強く残るが,その繊細な抒情性をもった文体の新しさと作品を貫く極度のペシミズムとが人々を驚かせた。ロシア化政策下のギムナジウム体験をもとにした《シシフォスの労働》(1898)で民族の悲運をテーマとして以来,社会的・民族的解放者像を描き続けたが,それは1863年の一月蜂起の戦場となったキエルツェに生まれ,独立運動の伝統が生き続ける一族のなかで育ったことと無関係ではない。モダニズムの唯美主義的傾向とロマン主義の民族解放思想を調和させた作家としてポーランド文学最高の権威とまでの評価を得た。1918年の国家独立後もポーランド社会のオピニオン・リーダーとして活躍した。代表作に《家なき人々》(1900),《灰》(1904),《罪の物語》(1908),《忠実な川》《生の魅惑》(ともに1912),《早春》(1925)ほかがある。
執筆者:小原 雅俊
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ポーランドの小説家。没落した小貴族の家庭に生まれ、貧困のうちに幼年時代を送った。1880年代末から小説を書くが、初期よりポーランド農村の社会的葛藤(かっとう)を描き、批判的リアリズムを継承する大作家となり、叙情的な文体でポーランド小説の芸術性を高めた。1924年ノーベル文学賞候補となる。代表作『家なき人々』(1900)、長編『灰』(1904)、『早春』(1924)など。
[吉上昭三]
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