日本大百科全書(ニッポニカ) 「ジズヤ」の意味・わかりやすい解説
ジズヤ
じずや
jizya
イスラム法が定める人頭税。預言者ムハンマド(マホメット)がユダヤ教徒やキリスト教徒などに課した。イスラム法が整備される過程で人頭税と土地税(ハラージュ)の区分が明確化され、人頭税をジズヤとよぶようになった。土地税は、土地所有者の宗教、身分にかかわらず課税されるが、人頭税はイスラム教徒には課せられず、非イスラム教徒だけに課せられる。成人男子1人に対して年に金貨1枚が標準的な税額であったが、地域、時代により標準とは異なる税額があった。非イスラム教徒はジズヤの分だけイスラム教徒よりは過大に税を負担することになり、彼らには不満があった。現代ではイスラム諸国の多くはイスラム法によらない税体系をもち、ジズヤは課せられていない。
[後藤 明]