急な傾斜面の線路の勾配(こうばい)を緩和するために考えられた線路の敷き方。勾配区間に駅がある場合、停車中にブレーキを緩めると列車が動きだす危険があり、また登り坂に向けて発車する際にはかなりの力を要し、悪天候の場合には動輪が空転して発車できないこともある。したがって、駅構内の線路はなるべく水平がよい。しかし駅構内を水平にならすと、先で勾配がもっと急になるおそれがある。その対策として山越えの路線で考え出されたのがスイッチバックである。列車が駅を通過することのできるX字形、駅に停車する必要のあるY字形などの分類がある。
X字形の場合
上の で、右下から坂を登ってきた列車は、左側に設けられた水平になっている駅に入る。この線路は行き止まりになっており、客の乗降が終わると、列車はポイントを切り替え、後退してやはり水平な右の引込線に入る。そこで停車し、またポイントを切り替えて前進し、左上の線路を登ってゆく。駅を通過する列車は右下から左上に直進する。
Y字形の場合
下の で、右下から登ってきた列車は、水平になっている駅に停車して客の乗降がすむとポイントを切り替え、列車は逆行して右上の線路を登ってゆく。中国山脈を横断する木次(きすき)線の出雲坂根(いずもさかね)駅が有名である。
しかし、スイッチバックは、駅に停車するためでなく、勾配を緩和する目的で設けられることが多い。小田原から強羅(ごうら)まで、15キロメートルの間に550メートルを登る箱根登山鉄道(1919年開通)は、出山(でやま)、大平台(おおひらだい)、上大平台にスイッチバックがあり、三つのうち駅があるのは大平台だけで、残る二つは単なる信号場で駅員はいない。このようにスイッチバックを設けても、この線にはまだ66~80‰(パーミル)の勾配がいくつもある。また、中央本線にはかつて高尾―塩尻間に九つものスイッチバックがあったが、車両性能が向上して現在は初狩(はつかり)駅で貨物列車専用として使用されるだけになった。
このほか、阿蘇(あそ)の外輪山を越える豊肥本線の立野(たての)駅付近、肥薩(ひさつ)線の矢岳(やたけ)越えの大畑(おこば)駅付近、篠ノ井(しののい)線の姨捨(おばすて)駅付近、えちごトキめき鉄道(旧JR信越本線)の二本木(にほんぎ)駅付近にもスイッチバックがある。
[吉村光夫]
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
〘 名詞 〙 年の暮れに、その年の仕事を終えること。また、その日。《 季語・冬 》[初出の実例]「けふは大晦日(つごもり)一年中の仕事納(オサ)め」(出典:浄瑠璃・新版歌祭文(お染久松)(1780)油...
12/17 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
11/21 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新