スポーツ,とくにプロ野球についての報道や読物を中心とする専門紙。スポーツ紙は外国ではごく少数存在するだけで,日本特有の,そして第2次世界大戦後の存在といえる。1946年3月創刊の《日刊スポーツ》が最初で,その後日本のスポーツが復興しはじめた48年から相次いで発刊された。50年のプロ野球の2リーグ制,52年の白井義男のプロボクシング世界フライ級チャンピオン獲得,53-54年ころの日本テレビの街頭テレビによる力道山のプロレス試合の放映などがスポーツ紙の読者を拡大した。テレビのスポーツ放送が全国をカバーし終える50年代に,スポーツ紙もほぼ全国で読まれるようになった。これはテレビが,スポーツを〈する〉のではなく,〈見る〉ファンを一挙に拡大したことに支えられていることを示している。発行社の多くは,全国紙あるいは有力地方紙の系列社である。内容はアマチュアスポーツよりプロスポーツ,とくにプロ野球に比重が高く,また64年の東京オリンピック以後は,スポーツばかりではなく,レジャー,芸能,ギャンブル,性風俗などにも広くスペースを割く〈総合レジャー紙〉に変わってきている。スポーツ新聞には宅配されるものと駅のスタンドなどで即売されるものがある。その違いは,最終ページにあり,宅配用は最終面が〈ラジオ・テレビ欄〉なのに対して,即売用は記事中心となっている。これは即売用がサラリーマンを購読者としていることによる。
執筆者:新井 直之
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
専門紙の一つ。スポーツの報道、関連情報の提供を行う新聞。総合的なスポーツ日刊新聞としてはフランスの『レキップ』(1944創刊)が有名。ヨーロッパにはほかの各国にもスポーツ日刊紙があるが、アメリカ、イギリスにはない。これらのどの国でも週刊以下の頻度の競技種目別の専門紙となると多数が存在する。これに対して日本のスポーツ日刊紙というのは、プロスポーツ、芸能、レジャー、ギャンブル、娯楽読み物を内容とした独特の形のものとして第二次世界大戦後創刊をみ、発達した。多くは、有力一般日刊新聞社の関連事業として発行されている。これら親新聞社どうしの販売競争の激化に伴い、最近またスポーツ紙の創刊、地方発行の動きが盛んになっている。
[桂 敬一]
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