ドイツの物理学者。エストニアのタリンに生まれる。ゲッティンゲン大学で医学を修めたが、大学に勤めるなどの公職につかず、自然科学を研究し、1818年ベルリン科学アカデミー会員となった。1822年、銅とビスマスなどを線状にして、その両端を接合し、この両端に温度差を与えると両端に電位差が生じる現象(熱電気現象)の発見に関する論文を発表した。この電位差は熱起電力といい、「ゼーベック効果」ともいわれる。また温度1℃当りの熱起電力を熱電能またはゼーベック係数とよぶ。熱起電力は導体あるいは半導体などの物質の種類と温度差のみによって決まり、今日、一般に使われている熱電対(ねつでんつい)はこの起電力を利用している。ゼーベックはこの電気現象を発見したが、彼自身は磁気現象ととらえていた。このほか糖の水溶液中での偏光面の回転の研究などがある。
[武澤 隆]
ドイツの物理学者。エストニアの商人の家庭に生まれ,ギムナジウム卒業後はベルリンとゲッティンゲン大学で医学を学び,1802年にはゲッティンゲン大学から医学博士の学位を受けた。自然科学に興味をもち,最初イェーナで光学の研究を始め,太陽スペクトルの異なる色における熱効果や化学作用を調べた。また圧力を受けたガラス片中での偏光の問題を研究,14年にはベルリン・アカデミー会員に選ばれた。その後ベルリンに移り,磁気現象の研究を行い,アラゴーの減衰法則やヒステリシス現象の初期兆候を見いだした。また電流装置への熱の影響を調べる中で,21年に銅とビスマスまたはアンチモンの両端を接合して両接点を異なる温度に保つと電流が流れる現象(ゼーベック効果)を発見した。しかし彼は,電流の発生を信じられず,最後まで熱磁気の発生と考えていた。
執筆者:日野川 静枝
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…2種類の異なる金属線を接続して閉回路をつくり,二つの接合点を相異なる温度に保つと,二つの接合点の間に起電力が生じて電流が流れる。この現象をゼーベック効果Seebeck effectといい,このときの起電力を熱起電力と呼ぶ。1821年ドイツのT.J.ゼーベックが銅とビスマスまたはアンチモンについて発見した。…
※「ゼーベック」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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