タイプ理論(読み)タイプりろん(英語表記)theory of types

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「タイプ理論」の意味・わかりやすい解説

タイプ理論
タイプりろん
theory of types

初期の集合論にみられたパラドックス,「すべての順序数の集合」に関するチェザーレ・ブラリ=フォルティのパラドックス,「すべての集合の集合」に関するゲオルク・F.L.P.カントルのパラドックスなどを避けるためにバートランド・A.W.ラッセル提唱,導入した概念。階型理論ともいう。ラッセルは「自己自身をメンバーとしないすべての集合の集合」という叙述に含まれる,自己否定を含む全体という観念によるパラドックスを解決するには「すべての集合を含むものは,その集合の一つであってはならない」という循環論法原理を守ればよいとした。この矛盾を排除するためにたてた理論がタイプ理論である。すなわち,ある Xが有意味であるような対象の領域を限定して,これをタイプ(階型)と呼び,直接の対象である個物を第1のタイプ,個物の集合(関数)を第2のタイプ,集合の集合を第3のタイプとし,タイプの異なるものを混同してはならないとした。このタイプ理論はラッセル自身によってほかの意味論的・認識論的パラドックス(エピメニデスの嘘つきのパラドックスや,ベリーのパラドックス)にも適用され,のちの数学基礎論や意味論に影響を与えた。(→逆理

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