手巾(読み)シュキン

デジタル大辞泉 「手巾」の意味・読み・例文・類語

しゅ‐きん【手巾】

手をふくための布切れ。手ぬぐい、またはハンカチ。てふき。
「せきあえぬ涙に―を濡らしつるを」〈鴎外舞姫
手巾帯」の略。
[類語]タオル手拭き手拭いハンカチお絞り

ハンケチ【手巾】[書名]

芥川竜之介短編小説。大正5年(1916)10月雑誌中央公論」に発表新渡戸稲造著作武士道」の流行に対する芥川の冷笑的なスタンスを示す作品

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精選版 日本国語大辞典 「手巾」の意味・読み・例文・類語

しゅ‐きん【手巾】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. てぬぐい。また、てふき。ハンカチ。
      1. [初出の実例]「盛匜盥。案上各加手巾。主水官人分立案下。但内蔵官人立手巾。主水官人候洗手」(出典:新儀式(963頃)天皇加元服事)
      2. 「女人に手ふるべからすと云て、錫杖の柄、手巾(シュキン)をまきて、はるかにささへたりける」(出典:雑談集(1305)七)
      3. [その他の文献]〔世説‐文学〕
    2. しゅきんおび(手巾帯)
      1. [初出の実例]「手巾は一幅の布、ながさ一丈二尺なり」(出典:正法眼蔵(1231‐53)洗面)
    3. 僧侶の間で鰻(うなぎ)をいう。
      1. [初出の実例]「花幔は鯣、手巾は鱣(うなぎ)独鈷鰹節異名にて、寺がたへ出入申候時ならひ候」(出典:浮世草子・本朝藤陰比事(1709)六)
  2. [ 2 ] 尺八の曲の名。
    1. [初出の実例]「此の手、江州大津の住、とぎやの佐右衛門二郎吹出す也。刀をとぎける時、此の手をおもひ出し、手を拭はで吹きてみるに、吹けるうちに手かはきたり。さるによりて手巾(ジュキン)といふ」(出典:糸竹初心集(1664)上)

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普及版 字通 「手巾」の読み・字形・画数・意味

【手巾】しゆきん

手ぬぐい。〔世説新語文学〕謝鎭西(尚)、少(わか)き時殷の能く言するを聞き、故(ことさら)にきて之れに(いた)る。殷~數百語を作(な)す。~謝、を傾けて、覺えず汗面にはる。殷、徐(おもむ)ろに左右に語(つ)げ、手巾を取りて謝に與へ、面を拭(ぬぐ)はしむ。

字通「手」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の手巾の言及

【雲水】より

…雲衲(うんのう),行脚(あんぎや)とも称す。雲水は,網代笠(あじろがさ)をかぶり,袖の長い雲水衣(直綴(じきとつ))をきて,腰に手巾(しゆきん)と称する丸ぐけの腰紐をしめる。絡子(らくす)をかけ,白木綿の手甲(てつこう)・脚絆(きやはん)をつけ,わらじをはき,機能的で簡素な服装である。…

【ハンカチーフ】より

…日本ではおもに手ふきとして,欧米ではおもに鼻ふきとして実用され,また装飾品としても用いられる方形の小布。日本では略してハンカチ,ハンケチと呼ばれることが多く,手巾(しゆきん)ともいう。ローマ帝政時代に顔をふいたり手に持ったりしたスダリウムや,食事の際に手をふいたマッパが起源と考えられている。…

※「手巾」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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