たじろぐ(読み)タジログ

デジタル大辞泉 「たじろぐ」の意味・読み・例文・類語

たじろ・ぐ〔たぢろぐ〕

[動ガ五(四)]《古くは「たじろく」》
相手勢いに圧倒されて、ひるむ。しりごみする。「捨て身の攻勢に―・ぐ」
ひけをとる。劣る。
ふみの道は、少し―・くとも」〈宇津保・俊蔭〉
[類語]しりごみひるむたじたじ怖気付く怖ける怖じるびびるびくつく鼻白む

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「たじろぐ」の意味・読み・例文・類語

たじろ・ぐたぢろぐ

  1. 〘 自動詞 ガ五(四) 〙 ( 古くは「たじろく」 )
  2. ある水準から後退したり、衰えたりする。衰微してだめになる。
    1. [初出の実例]「ふみの道はすこしたちろくとも、そのすぢはおほかり」(出典:宇津保物語(970‐999頃)俊蔭)
    2. 「御物怪にて御薬しげければ、何となくたちろきけるころにや」(出典:愚管抄(1220)四)
  3. 衰えて傾いたりよろめいたりする。また、多く打消の形で、重い物あるいはかたい物が少し動くことをもいう。
    1. [初出の実例]「朝夕につたふいたたの橋なれはけたさへ朽てたちろきにけり〈源俊頼〉」(出典:堀河院御時百首和歌(1105‐06頃)雑)
    2. 「アシガ tagiroqu(タヂロク)」(出典日葡辞書(1603‐04))
  4. 前から押されたり、自ら動揺したりして、後退したり、よろめいたりする。また、困難や予期しないことにぶつかって困惑する。ひるむ。
    1. [初出の実例]「散々に討退け (タジロク)処について出」(出典:幸若本能寺(室町末‐近世初))
    2. 「津田は此出鱈目の前に退避(タジ)ろぐ気色を見せた」(出典:明暗(1916)〈夏目漱石〉一四八)

たじろぐの補助注記

歴史的かなづかいを「たじろぐ」とする説もあったが、「じ」と「ぢ」の発音区別のあったと思われる時代の文献に「ち」の表記がみられるところから、「たぢろぐ」を正しいとみる。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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