ショーソン(読み)しょーそん(英語表記)Ernest Chausson

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ショーソン」の意味・わかりやすい解説

ショーソン
しょーそん
Ernest Chausson
(1855―1899)

フランスの作曲家。パリ生まれ。法律を学んだのち、24歳からパリ音楽院のマスネのクラスで作曲を学び、フランクにも師事した。1886年以後はフランスの器楽音楽の振興を主目的とした国民音楽協会の書記ダンディとともに務める一方、精力的に作曲活動を行った。ミュンヘンバイロイトワーグナーの楽劇に接して強い印象を受け、約10年の歳月をかけてオペラ『アルテュス(アーサー)王』(1886~95)を完成した。また唯一の交響曲変ロ長調(1889~90)、バイオリン管弦楽のための『詩曲』(1896)、管弦楽伴奏の歌曲『愛と海の詩』(1882~90)、ピアノ、バイオリン、弦楽四重奏のための『コンセール』(1889~91)など、彼の代表的作品には、特有の繊細な感性憂愁を秘めた叙情性が色濃く表れており、フランス・ロマン主義とドビュッシーらの印象主義をつなぐ位置にある。自転車事故により44歳で没した。

[美山良夫]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ショーソン」の意味・わかりやすい解説

ショーソン
Chausson, Ernest Amadée

[生]1855.1.21. パリ
[没]1899.6.10. リメー
フランス近代の作曲家。 C.A.フランクの弟子で,「国民音楽協会」に入り,協会のために活躍。フランクとワーグナーに傾倒。その影響と,生来抒情性と美しい旋律がみごとに結集して,『愛と海の詩』『温室』などの抒情的歌曲が生れた。また器楽では,バイオリンと管弦楽のための『詩曲』が,甘美で詩情豊かな抒情性のゆえに,今日でもよく演奏される。そのほか,『交響曲変ロ長調』や『バイオリン,ピアノと弦楽四重奏のための協奏曲』などがある。

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