ディリアス

百科事典マイペディア 「ディリアス」の意味・わかりやすい解説

ディリアス

英国の作曲家。ディーリアスとも。ドイツ人を両親としてイングランド北部のブラッドフォードに生まれ,早くからピアノとバイオリンに才能を示す。父の会社の手伝いでヨーロッパ各地に移り住み1884年フロリダのオレンジ農園の仕事に就くが,音楽に没頭。1886年―1888年ライプチヒ音楽院の聴講生となり,同地でグリーグ親交を結ぶ。その後はパリに暮らし,M.ラベルストリンドベリムンクゴーギャンらと交友,1897年パリ効外のグレ・シュル・ロアンに定住晩年失明するが,ヨークシャー出身の音楽家E.フェンビーの献身的な助力を得て作曲を続けた。作品はR.ワーグナー,グリーグ,フランス近代音楽などの影響のもとに独自の抒情性と精妙な色彩感をたたえ,管弦楽曲,室内楽曲,合唱曲,オペラなどに多くの名作を残した。《夏の庭園で》(1908年,改訂1913年)などの管弦楽曲,ニーチェによる独唱,合唱と管弦楽のための《人生のミサ》(1904年―1905年),《チェロ協奏曲》(1921年)などが広く知られる。→ビーチャム
→関連項目印象主義チューダーラッセル

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改訂新版 世界大百科事典 「ディリアス」の意味・わかりやすい解説

ディリアス
Frederick Delius
生没年:1862-1934

イギリスの作曲家。イギリスへ移住したドイツ人夫婦の息子として生まれた。フロリダのオレンジ農園へ送られるが,果樹栽培にはまったく関心がなく音楽に没入した。1888年ライプチヒ音楽院の聴講生となり,同地でグリーグと親交を結んだ。まもなくパリへ行き,97年から没するまでパリ郊外グレ・シュル・ロアンの邸宅に隠棲して作曲に専念した。ディリアスの音楽は世紀末の抒情に染められ,過ぎ去った時への悔恨や人間の愛のはかなさをうたった。《夏の庭園で》(1908)とか《春初めてのカッコウを聞いて》(1912)などの管弦楽曲は音によって季節感をとらえた名作として知られている。
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