テイカカズラ(読み)ていかかずら

日本大百科全書(ニッポニカ) 「テイカカズラ」の意味・わかりやすい解説

テイカカズラ
ていかかずら / 定家葛
[学] Trachelospermum asiaticum (Sieb. et Zucc.) Nakai

キョウチクトウ科(APG分類:キョウチクトウ科)の常緑藤本(とうほん)(つる植物)。茎から気根を出し、木や岩にはい上がる。葉は革質で対生し、長楕円(ちょうだえん)形または披針(ひしん)形で長さ3~6センチメートル、変異が多く、幼植物では小さい。5~6月、集散花序をつくり、径約2センチメートルの白色花を開き、のちに淡黄色になる。花冠は5裂し、裂片は螺旋(らせん)状にねじれ、下部は細い筒となる。果実は細長く、長さ15~20センチメートルでぶら下がる。10~11月に熟して裂開し、先端に長毛のある細長い種子が風で飛ぶ。秋田県以西の本州から九州、小笠原(おがさわら)諸島、朝鮮半島に分布する。昔、マサキノカズラといったものはテイカカズラであり、天鈿女命(あめのうずめのみこと)が天岩戸(あめのいわと)の前で鬘(かずら)にしたものはテイカカズラであるという。

 テイカカズラ属は東アジアおよび北アメリカに約16種ある。

小林義雄 2021年6月21日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「テイカカズラ」の意味・わかりやすい解説

テイカカズラ
Trachelospermum asiaticum

キョウチクトウ科の常緑つる性木本。北海道を除く日本各地,特に暖地山野に普通にみられ,庭木としても植えられる。茎は長く伸び,付着根を出して他物にはいのぼる。葉は対生し,楕円形ないし狭長楕円形で長さ4~8cmあり,革質で表面にやや光沢がある。しかし若木では葉が長さ 1cmあまりしかなく,外見はまったく別の植物のようにみえる。花は5~6月に,小枝上部にまばらな集散花序をなして数個開き,芳香がある。花冠は下半部が細長い管状となり,上部は5片に分れてやや回旋して開く。花色は白色,のちに淡黄色に変る。細長い莢状の果実をつけ,裂開して長い毛をもった種子を飛ばす。

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