ディオファントス(読み)でぃおふぁんとす(英語表記)Diophantos

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ディオファントス」の意味・わかりやすい解説

ディオファントス
でぃおふぁんとす
Diophantos

生没年不詳。3世紀後半のギリシアの数学者。「代数学の父」といわれ、主としてアレクサンドリアで活躍した。その生涯については、『ギリシア詩華集』に次のような詩が載っている。「ディオファントスは一生の6分の1を少年時代として過ごし、ひげは一生の12分の1より後に伸び、さらに7分の1過ぎて結婚した。結婚後5年して息子が生まれた。息子は父の2分の1生き、父は息子の4年後に死んだ」。彼の年齢をxとすれば、x=1/6x+1/12x+1/7x+5+1/2x+4となって、その一生は84年となる。主著『算数論』Arithmetikaは13巻中6巻が現存し、そこでは主として一次から三次までの定方程式不定方程式の問題と解法を扱っているが、その計算法や解法の手掛りをつかむ巧妙さは驚くばかりである。また、マイナス未知数、相等しい、累乗などの記号についても考察、その後の代数学に大きな影響を与えた。

平田 寛]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ディオファントス」の意味・わかりやすい解説

ディオファントス[アレクサンドリア]
Diophantus of Alexandria

ギリシアの数学者。その生涯についてはほとんど知られていないが 250年頃に活躍していたと推測されている。主著『数論』は,全 13巻と称せられているが,6巻しか現存しない。アラビア語訳でも6巻しかなく,相当初期に失われてしまったと考えられている。この書物で特に注目すべきことは,初めて代数学の記号化を行なったことである。彼は未知数を表わすのに1つだけの記号を用い,連立の問題も1つの未知数の問題に帰着させた。またマイナスにも記号を用いた (マイナスの記号化はヘロンの著作中にも見出される) 。彼の解いた問題のなかには,1,2,3あるいは4変数の1次または2次の方程式,1次および2次の混合した方程式,2次を含む連立方程式,ただ1つではあるが3次の方程式がある。また2次,3次,4次,あるいは簡単な6次の不定方程式も解いている。今日ディオファントスの方程式の名で呼ばれているのは,これらの不定方程式のことである。彼は,根として自然数かまたはそれらの整数の比 (有理数解) だけを探究した。

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