日本大百科全書(ニッポニカ) 「デラフォス石」の意味・わかりやすい解説
デラフォス石
でらふぉすせき
delafossite
銅(Cu)と鉄(Fe)の複酸化物。Cu1+Fe3+O2という非常に単純な化学組成であるにもかかわらず、産出は案外限定される。同系鉱物はマコンネル石mcconnellite(化学式CuCrO2)のみでデラフォス石系を構成する。自形は六角板状のものと六角短柱状のものとがあるが、多く集落状、球顆(きゅうか)状、土状などである。各種銅鉱床の酸化帯中に産する。大部分は二次的生成物であるが、まれに初生鉱物と判断されるものが細脈中にみられることがある。日本では愛媛県新居浜(にいはま)市別子(べっし)鉱山(閉山)の酸化帯から発見されている。
共存鉱物は自然銅、赤銅鉱、黒銅鉱tenorite(CuO)、くじゃく石、赤鉄鉱、石英、カオリナイトなど。同定は黒色皮膜で案外もろいことによる。非常に強力な磁石には反応する。二酸化マンガン鉱物のように真っ黒ではなく、どこか褐色味をみせる。純粋な皮膜であれば、これから得られた粉末でも比重の大きさがわかる。命名はフランスの鉱物学者ガブリエル・デラフォスGabriel Delafosse(1796―1878)にちなむ。
[加藤 昭 2017年12月12日]