トリフィル石(読み)とりふぃるせき(その他表記)triphylite

日本大百科全書(ニッポニカ) 「トリフィル石」の意味・わかりやすい解説

トリフィル石
とりふぃるせき
triphylite

リチウムと鉄の無水リン酸塩鉱物。LiFe[PO4]の式からも類推されるように橄欖石(かんらんせき)と同構造。トリフィル石系を構成する。自形多角形の断面をもつ斜方短柱状をなすが産出はまれ。花崗岩(かこうがん)質ペグマタイト中に産する。日本では茨城県かすみがうら市雪入(ゆきいり)が唯一の産地である。

 共存鉱物は雪入産では藍鉄鉱(らんてっこう)、微斜長石石英白雲母(しろうんも)、水酸燐灰石(りんかいせき)など。世界各地のいわゆるリン酸ペグマタイトでは数多くの鉄やマンガンリン酸塩が見られる。同定は雪入産の場合は藍色の藍鉄鉱で囲まれているので容易であるが、他の場合では、青色あるいは緑色を帯びた灰色、一方向の完全な劈開(へきかい)、比較的低い硬度など。条痕(じょうこん)が驚くほど淡く、無色に近い。命名はギリシア語triphylosに由来する。トリtriはLi、Fe、Pと3種の陽イオンを含むことにより、またフィルphylは鉱物族を意味する。

加藤 昭]


トリフィル石(データノート)
とりふぃるせきでーたのーと

トリフィル石
 英名    triphylite
 化学式   LiFe2+[PO4]
 少量成分  Mn2+,Mg,Ca,Fe3+
 結晶系   斜方(直方)
 硬度    4~5
 比重    3.56
 色     帯青灰~帯緑灰
 光沢    ガラス~亜樹脂
 条痕    無色
 劈開    一方向に完全
       (「劈開」の項目を参照)

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最新 地学事典 「トリフィル石」の解説

トリフィルせき
トリフィル石

triphylite

化学組成Li(Fe2,Mn2)(PO4)の鉱物。直方晶系,空間群Pmnb, 格子定数a0.6029nm, b1.0359, c0.4703, 単位格子中4分子含む。まれに柱状結晶,ふつうは劈開の発達する塊状。緑~青を帯びた灰色,透明ないし半透明で,ガラス~樹脂光沢。劈開{100}に完全,{010}に不完全。硬度4~5,比重3.57~3.59。薄片では無色,屈折率α1.689~1.705, β1.689~1.710, γ1.696~1.720, Fe/Mnで著しく異なる。2V(±)0°~90°, Mnが多いもの(Fe:Mn=74:26以上のマンガンを含む)では正,光分散rv明瞭。Feの多いものは負,vr明瞭。Mn>Feは,リチオフィライトと呼ばれ,連続固溶体を形成。かんらん石グループと同構造。リン酸塩ペグマタイト中に最もふつうに産し,各種リン酸塩鉱物を伴う。らん鉄鉱をはじめ二次的なリン酸塩鉱物に分解しやすい。日本では茨城県新治郡千代田町雪入のリン酸塩ペグマタイト中に産した。名称は,鉄・マンガン・リチウムの3種の陽イオンからできているので,三つの家族を意味するギリシア語に由来。

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出典 平凡社「最新 地学事典」最新 地学事典について 情報

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