商品、店舗、サービスなどの全体的な外観やイメージをさすことば。知的財産権の保護に熱心なアメリカで発達した概念で、商標Trade markや商号Trade nameが個々の名称、図柄、意匠、ロゴなどの権利保護のために使われるのに対し、色、形、材質、販売手法などが醸し出す総合的な雰囲気を保護する目的で使われる。企業や個人がつくりだした独創的な外観や、集客に役だつ独自イメージの模倣を防ぐ目的で、多くの係争処理にトレードドレスという考え方が活用されている。
アメリカでは商標法(ランハム法)43条に、トレードドレスの保護規定がある。本来、製品の包装や容器などをさす「商品の衣装」という概念であったが、1991年、アメリカのメキシコ料理チェーン店2社が店舗の内装の類似性を争った裁判で、トレードドレスを「全体的な外観ないしイメージ」と広義に解釈する判決が出て以来、トレードドレスは(1)他と識別できる、(2)混同の恐れがある、(3)非機能的である、の3点を満たせば保護されるとの概念が定着した。現在、食品や家具のデザインから、飲食店の装飾やメニュー、ロック・グループの演奏手法まで幅広く適用されている。
日本の商標法にはトレードドレスに関する規定はないが、不当競争防止法に理念や精神が盛り込まれていると考えられており、日本の飲食店、食品会社などの紛争処理にも援用されることがある。ただ独創と模倣の境界線があいまいなうえ、商標や意匠権で守られていない商品やサービスにまでトレードドレスの概念を適用するのは行きすぎであるとの批判もある。
[編集部]
敵を欺くために、自分の身や味方を苦しめてまで行うはかりごと。また、苦しまぎれに考え出した手立て。苦肉の謀はかりごと。「苦肉の策を講じる」...