トーニー(読み)とーにー(英語表記)Richard Henry Tawney

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「トーニー」の意味・わかりやすい解説

トーニー
Taney, Roger Brooke

[生]1777.3.17. メリーランド,カルバート
[没]1864.10.12. ワシントンD.C.
アメリカの政治家,法律家。初めメリーランド州下院で連邦派として活躍したあと,A.ジャクソン派上院議員となり,1831年ジャクソン大統領の司法長官,33年財務長官に就任。「第二合衆国銀行」問題でジャクソン大統領を助けて活躍。 36年 J.マーシャルを継いで第5代の連邦最高裁判所長官となった。マーシャルの連邦政府の権限の拡大を目指す傾向とは逆に,州政府の権限を重視,また 37年の「チャールズ橋事件」では公共の利益に反する会社の権限を押えた。拡大する合衆国西部での奴隷制を問題とした 57年の「ドレッド・スコット判決」では「ミズーリ妥協」と「1850年の妥協」を無効とし,南部に有利で,黒人を市民として認めない内容の判決下し南北対立激化招き南北戦争の重要な原因の一つをつくった。

トーニー
Tawney, Richard Henry

[生]1880.11.30. カルカッタ
[没]1962.1.16. ロンドン
イギリスの経済史家,社会思想家。キリスト教的な社会主義の立場から労働問題の研究,労働者教育に尽力。 1906年労働党入党。 05~32年労働者教育協会 WEAを指導。 31~49年ロンドン大学経済史教授。経済史家としては,現代イギリスの農業問題への関心から発し,チューダー朝時代の農業土地問題を中心とする経済史研究を通じて資本主義社会への批判を行なった。主著『16世紀の土地問題』 The Agrarian Problem in the 16th Century (1912) ,『宗教資本主義勃興』 Religion and the Rise of Capitalism (26) 。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「トーニー」の意味・わかりやすい解説

トーニー
とーにー
Richard Henry Tawney
(1880―1962)

イギリスの歴史家インドのカルカッタ(現コルカタ)に生まれる。オックスフォード大学卒業。1906年労働党に入党、労働者教育に携わり社会保障、教育問題などで労働党の政策づくりに寄与した。31年から49年までロンドン大学経済史教授。処女作『16世紀の農業問題』The Agrarian Problem in the Sixteenth Century(1912)はヨーマン層の形成と分解を論じた不朽名著で、イギリス16、17世紀は「トーニーの世紀」とさえいわれる。ほかにイギリス経済史史料集の編集、『宗教と資本主義の興隆』Religion and the Rise of Capitalism(1926)など多数の業績を残した。

[浜林正夫]

『浜林正夫訳『ジェントリの勃興』(1957・未来社)』『浜林正夫・森本義輝訳『ある歴史家の時代批判』(1975・未来社)』

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