ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「トーニー」の意味・わかりやすい解説
トーニー
Taney, Roger Brooke
[没]1864.10.12. ワシントンD.C.
アメリカの政治家,法律家。初めメリーランド州下院で連邦派として活躍したあと,A.ジャクソン派上院議員となり,1831年ジャクソン大統領の司法長官,33年財務長官に就任。「第二合衆国銀行」問題でジャクソン大統領を助けて活躍。 36年 J.マーシャルを継いで第5代の連邦最高裁判所長官となった。マーシャルの連邦政府の権限の拡大を目指す傾向とは逆に,州政府の権限を重視,また 37年の「チャールズ橋事件」では公共の利益に反する会社の権限を押えた。拡大する合衆国西部での奴隷制を問題とした 57年の「ドレッド・スコット判決」では「ミズーリ妥協」と「1850年の妥協」を無効とし,南部に有利で,黒人を市民として認めない内容の判決を下し,南北の対立の激化を招き,南北戦争の重要な原因の一つをつくった。
トーニー
Tawney, Richard Henry
[没]1962.1.16. ロンドン
イギリスの経済史家,社会思想家。キリスト教的な社会主義の立場から労働問題の研究,労働者教育に尽力。 1906年労働党に入党。 05~32年労働者教育協会 WEAを指導。 31~49年ロンドン大学経済史教授。経済史家としては,現代イギリスの農業問題への関心から発し,チューダー朝時代の農業土地問題を中心とする経済史研究を通じて資本主義社会への批判を行なった。主著『16世紀の土地問題』 The Agrarian Problem in the 16th Century (1912) ,『宗教と資本主義の勃興』 Religion and the Rise of Capitalism (26) 。
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