ト書(読み)トガキ

デジタル大辞泉 「ト書」の意味・読み・例文・類語

と‐がき【ト書(き)】

脚本で、登場人物出入り・動き、場面の状況照明音楽効果などの指定せりふの間に書き入れたもの。歌舞伎脚本で、「ト思入れあって…」などと「ト」を用いたところからいう。

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精選版 日本国語大辞典 「ト書」の意味・読み・例文・類語

と‐がき【ト書】

  1. 〘 名詞 〙 演劇脚本で、せりふに添えて演技演出舞台装置などの説明を書き示したもの。歌舞伎脚本などで「ト幕明く」「ト思入れあって」などと書いたところからいう。〔絵本戯場年中鑑(1803)〕

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ト書」の意味・わかりやすい解説

ト書
とがき

演劇脚本用語。台詞(せりふ)以外に登場人物の出入り、動き、心理、状況や照明、音楽、効果などの演出的要素を指定して書いた部分をいう。歌舞伎(かぶき)脚本で「ト思入(おもいい)れあって」というように、かならず頭にトと書いたのが名称の始まり。なお、竹本では、〽と立出(たちい)ずれば、のように単純な動きだけを表現したものを「ト書浄瑠璃(じょうるり)」とよび、近代劇では、舞台装置や場面の状況を指定した部分を「舞台書」とよぶことがある。

[松井俊諭]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ト書」の意味・わかりやすい解説

ト書
トがき

脚本のなかで,舞台の説明,人物の動きなどの指定書をいう。幕や場の最初に舞台の情景の説明があるが,これを「舞台書」という。江戸の歌舞伎では「本舞台三間 (さんげん) の間」,上方では「造り物正面」と書出す形式が一定していた。これに対して,せりふとせりふの間に「ト,泣く」とか,「ト,思い入れ」というふうに,多くの場合「ト」の字をつけて動作の説明が記された。これがト書である。

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