ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ナルセス」の意味・わかりやすい解説
ナルセス
Narses; Narsēs
[没]574
ビザンチンの将軍。宦官で,皇帝親衛隊長としてユスチニアヌス1世に仕え,侍従長に昇進。 532年コンスタンチノープルで暴動発生のとき,適宜な軍事的行動と莫大な政治的賄賂によって帝位を救った。 535年エジプトに派遣され,総大主教テオドシウスの選任をめぐる紛争を収め,538年帝国財務長官となり,イタリア遠征軍長官ベリサリウスを助けるため同地に送られたが,同時にベリサリウスの動静を密告することをも命じられた。両者の不和により作戦は失敗,翌年召還された。しかし 551年バルカンに侵入したフン族などを撃退,552年には3万の軍を率いてイタリアで東ゴート人を撃滅し,554年イタリアを征服,その後 13年間イタリアを統治した。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報