ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ニキアス」の意味・わかりやすい解説
ニキアス
Nikias
[没]前413. シチリア
古代ギリシア,アテネの政治家,将軍。莫大な富を有していたといわれる。ペロポネソス戦争に際して,最初の 10年間すぐれた司令官として名を揚げる一方,好戦主義に反対してスパルタとの和平締結に努力し,好戦派の指導者クレオン,スパルタの有能な将軍ブラシダスの死後,前 421年に「ニキアスの平和」を成立させた。前 415年アルキビアデスのシチリア遠征計画に反対しながらも指揮者として出動し,遠征軍3人の指揮官のうちアルキビアデスは涜神事件で呼び返され,ラマコスは戦死,残ったニキアスはシラクサ攻撃にたずさわったが海戦に敗北,迷信から月食の夜,船出するのを見合せたため,退却に失敗 (前 413) ,捕えられて処刑された。シチリア遠征によって,アテネは 200隻以上の軍船,3万 5000に及ぶ乗組員,4000人のアテネ出身者を含む精鋭陸軍,および多くの資材と財貨を失い,ペロポネソス戦争の帰趨を決定し,アテネ敗退の端緒となった。
ニキアス
Nikias
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