ノジコ(その他表記)Japanese yellow bunting
Emberiza sulphurata

改訂新版 世界大百科事典 「ノジコ」の意味・わかりやすい解説

ノジコ (野路子/野鵐)
Japanese yellow bunting
Emberiza sulphurata

スズメホオジロ科の鳥。全長約14cm。スズメよりやや小さい。一見黄色っぽい鳥で,背面は緑褐色で黒い縞模様があり,下面は黄色みが強い。眼のまわりに白いリングがある。雌雄はほぼ同色。本州山地と北海道で繁殖し,日本以外では繁殖が知られていない。本州中部の日本海側の地方には多い。冬は平地に降り,九州や中国南東部やフィリピン諸島まで渡る。まばらな林にすむが,とくに水辺の林縁や湿地林を好む。一夫一妻で繁殖し,雄は強いなわばり性を示す。低木の頂上部などに止まってよくさえずる。巣の近くと隣接者の近くとに集中的にさえずる場所がある。低木の茂みの中にわん型の巣をつくり,1腹3~5個の卵を産む。鋭くチッと鳴き,さえずりはチーチョチョチーチーチリ……チイチイなどと聞こえ,ときどきチリ……という鈴音が入る。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ノジコ」の意味・わかりやすい解説

ノジコ
Emberiza sulphurata; yellow bunting

スズメ目ホオジロ科。全長 13.5~15cm。頭部は緑褐色で,眼のまわりがリング状に白い。背面は灰緑色黒褐色の小斑がある。下面は黄緑色で,脇に縦斑がある。本州中部以北の標高 400~1500mの開けた林や林縁で繁殖するが,分布は局地的で,日本海側に多い。繁殖は日本でしか知られていない。越冬地はフィリピンで,九州地方南西諸島中国南東部,タイワン(台湾)大韓民国などは記録があるが,渡りのときに通過していく地域と思われる。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ノジコ」の意味・わかりやすい解説

ノジコ
のじこ / 野路子
Japanese yellow bunting
[学] Emberiza sulphurata

鳥綱スズメ目ホオジロ科の鳥。同科ホオジロ属38種中の1種。全長約14センチメートル。灰色を帯びた緑黄色の鳥で、大・中雨覆(あまおおい)の先にある白斑(はくはん)が、翼の2本の白線となって目だつ。日本の特産種で、広葉低木林を好み、おもに昆虫を餌(えさ)とするが草本の種子も食べる。繁殖の知られているのは北海道のほか、青森、神奈川、山梨、静岡、長野、新潟などの各県で、個体数の少ない種類の一つである。冬季は九州でも記録されているが、台湾、フィリピン、中国南部沿海地方に渡るものもいる。飼い鳥としては、声のよい島根県産のものがイズモノジコとよばれた。

[坂根 干]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

百科事典マイペディア 「ノジコ」の意味・わかりやすい解説

ノジコ

ホオジロ科の鳥。翼長7cm。背面は灰緑色で暗色の縦斑がある。雌はやや褐色を帯びる。繁殖地は本州中部から北部の山地にかぎられ,冬は日本南部のほか,中国やフィリピンにも渡る。低い枝の上に皿形の巣を作り,おもに草の種子を食べるほか昆虫類を捕食。美しい声でさえずる。準絶滅危惧(環境省第4次レッドリスト)。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

今日のキーワード

ベートーベンの「第九」

「歓喜の歌」の合唱で知られ、聴力をほぼ失ったベートーベンが晩年に完成させた最後の交響曲。第4楽章にある合唱は人生の苦悩と喜び、全人類の兄弟愛をたたえたシラーの詩が基で欧州連合(EU)の歌にも指定され...

ベートーベンの「第九」の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android