日本大百科全書(ニッポニカ) 「ハエドクソウ」の意味・わかりやすい解説
ハエドクソウ
はえどくそう / 蠅毒草
[学] Phryma leptostachya L. subsp. asiatica (Hara) Kitam.
ハエドクソウ科(APG分類:ハエドクソウ科)の多年草。茎は高さ30~70センチメートル。葉は対生し、卵形で基部はやや切形状になる。6~8月、穂状花序をつくり、白色で淡紅紫色を帯びた小さな唇形花を横向きに開く。果実は下向きにつき、萼(がく)に包まれた形がイノコズチ(ヒユ科)に似ている。有毒植物で、名は、根の煎汁(せんじゅう)でハエを殺したことに由来する。丘陵から山地の林内に生え、日本全土、および朝鮮半島、中国、ヒマラヤ、シベリア東部に分布する。基本種のアメリカハエドクソウは北アメリカ東部にかけて分布する。
ハエドクソウ科Phrymaceaeは、世界に1属1種の特異な科で、クマツヅラ科に近縁である。
[高橋秀男 2021年10月20日]
APG分類でもハエドクソウ科とされる。分子系統解析に基づく研究の結果、ミゾホオズキ属やスズメハコベ属などもハエドクソウ科に含まれることとなった。この分類による2018年のデータでは13属190種が知られ、世界に広く分布する。日本には3属5種が分布する。
[編集部 2021年10月20日]