周期表第8族に属する人工元素の一つ。原子番号108の元素。1984年ドイツのダルムシュタット重イオン研究所のミュンツェンベルクGottfried Münzenberg(1940―2024)らは、鉛208(208Pb)に鉄58(58Fe)を衝突させると266108(質量数266の108番元素)を経て265108が得られることを報告した。265108は半減期2.4ms(ミリ秒)で、α(アルファ)崩壊する。国際純正・応用化学連合(IUPAC:International Union of Pure and Applied Chemistry)と国際純粋・応用物理連合(IUPAP:International Union of Pure and Applied Physics)は1994年暫定としてハーニウムhahnium(ドイツの化学者で核分裂の発見者O・ハーンにちなむ)としたが、1997年には元素名ハッシウム、元素記号Hsと決定された。ハッシウムはドイツのダルムシュタットのあるヘッセン州の古名にちなんだものである。
[中原勝儼]
Hs.原子番号108の元素.電子配置[Rn]5f 146d67s2(推定)の周期表8族元素.周期表でオスミウムの下に位置する(エカオスミウム).1984年にドイツ・ダルムシュタットの重イオン研究所(GSI)で,208Pb を標的として 58Fe で衝撃して得られた.このとき得られた 265Hs のα崩壊の半減期2 ms.質量数263~277の同位体核種が知られている.269Hs は約10 s,277Hs は約12 min の半減期をもつとする文献もある.室温で銀白色または灰色の金属固体とされる.ローレンス・バークレー国立研究所(カリフォルニア大学),GSI,パウル・シェラー研究所(ベルン大学)のグループによって,Os同様,揮発性の酸化物HsO4をつくることが確認された.命名はダルムシュタットの所在する州の名称ヘッセンのラテン名Hassiasによる.[CAS 54037-57-9]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
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