ハッシウム(読み)はっしうむ(その他表記)hassium

デジタル大辞泉 「ハッシウム」の意味・読み・例文・類語

ハッシウム(hassium)

8族に属する人工放射性元素の一。1984年ドイツダルムシュタットの重イオン研究所(GSI)のグループが鉛208に鉄58を衝突させて生成した。研究所の所在するヘッセン州のラテン語名ハッシアにちなむ。元素記号Hs 原子番号108。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ハッシウム」の意味・わかりやすい解説

ハッシウム
はっしうむ
hassium

周期表第8族に属する人工元素一つ。原子番号108の元素。1984年ドイツのダルムシュタット重イオン研究所のミュンツェンベルクGottfried Münzenberg(1940―2024)らは、鉛208(208Pb)に鉄58(58Fe)を衝突させると266108(質量数266の108番元素)を経て265108が得られることを報告した。265108は半減期2.4ms(ミリ秒)で、α(アルファ)崩壊する。国際純正・応用化学連合IUPAC:International Union of Pure and Applied Chemistry)と国際純粋・応用物理連合(IUPAP:International Union of Pure and Applied Physics)は1994年暫定としてハーニウムhahnium(ドイツの化学者で核分裂の発見者O・ハーンにちなむ)としたが、1997年には元素名ハッシウム、元素記号Hsと決定された。ハッシウムはドイツのダルムシュタットのあるヘッセン州の古名にちなんだものである。

[中原勝儼]



ハッシウム(データノート)
はっしうむでーたのーと

ハッシウム
 元素記号  Hs
 原子番号  108
 原子量   (269)
 融点    ―
 沸点    ―
※括弧内の数値は原子量ではなく、同位体質量数の一例

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化学辞典 第2版 「ハッシウム」の解説

ハッシウム
ハッシウム
hassium

Hs.原子番号108の元素.電子配置[Rn]5f 146d67s2(推定)の周期表8族元素.周期表でオスミウムの下に位置する(エカオスミウム).1984年にドイツ・ダルムシュタットの重イオン研究所(GSI)で,208Pb を標的として 58Fe で衝撃して得られた.このとき得られた 265Hs のα崩壊の半減期2 ms.質量数263~277の同位体核種が知られている.269Hs は約10 s,277Hs は約12 min の半減期をもつとする文献もある.室温で銀白色または灰色の金属固体とされる.ローレンス・バークレー国立研究所(カリフォルニア大学),GSI,パウル・シェラー研究所(ベルン大学)のグループによって,Os同様,揮発性の酸化物HsO4をつくることが確認された.命名はダルムシュタットの所在する州の名称ヘッセンのラテン名Hassiasによる.[CAS 54037-57-9]

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百科事典マイペディア 「ハッシウム」の意味・わかりやすい解説

ハッシウム

原子記号Hs。原子番号108。人工元素の1つ。1984年ドイツのダルムシュタット重イオン研究所のミュンツェンベルクらは(208/)Pbに(58/)Feを衝突させると質量数266の108番元素を経て質量数265の108番元素が得られることを報告した。(265/)Hsは半減期2.4msでα崩壊する。国際純正・応用化学連合(IUPAC)および国際純粋・応用物理学連合(IUPAP)は1994年暫定名称としてハーニウム(ドイツの化学者で核分裂の発見者ハーンにちなむ)としたが,1997年に元素名ハッシウム,元素記号Hsと決定。ハッシウムはダルムシュタットのあるドイツのヘッセン州の古名に由来。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ハッシウム」の意味・わかりやすい解説

ハッシウム
hassium

人工元素の一つ。元素記号 Hs。原子番号 108。1984年ドイツのダルムシュタットにある重イオン研究所 GSIのゴットフリート・ミュンツェンベルクらは,鉛208に鉄58を衝突させると質量数 266の 108番元素を経て,質量数 265の 108番元素が得られることを報告した。国際純正・応用化学連合 IUPACと国際純粋・応用物理学連合 IUPAPは 1997年,元素名ハッシウム,元素記号 Hsと決定した。名前はダルムシュタットのあるヘッセン州の古名にちなむ。

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