ハマゴウ(読み)はまごう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ハマゴウ」の意味・わかりやすい解説

ハマゴウ
はまごう / 浜栲
[学] Vitex rotundifolia L.f.

クマツヅラ科(APG分類:シソ科)の海岸生の低木。幹は地下茎となって砂中または表面を長く横走し、枝は直立して高さ20~50センチメートル。葉は異臭があり、卵形から楕円(だえん)形で長さ2~6センチメートル、全縁で先は丸いか、または鈍くとがる。表面は灰緑色裏面は細毛を密生して灰白色。7~9月、長さ2~10センチメートルの円錐(えんすい)花序を頂生し、漏斗(ろうと)状で長さ1~1.5センチメートルの青紫色花を開く。果実球形で径5~7ミリメートル、下半部は宿存萼(がく)で包まれる。本州から沖縄、および朝鮮半島、台湾、中国からアジア・アフリカの熱帯、オーストラリアに分布する。砂防用によく植えられる。近縁のヤエヤマハマゴウは、八重山諸島が北限で、アジア、アフリカ、ヨーロッパに分布する。

[島袋敬一 2021年9月17日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ハマゴウ」の意味・わかりやすい解説

ハマゴウ(蔓荊)
ハマゴウ
Vitex rotundifolia; chaste-tree

クマツヅラ科の落葉低木で,東南アジア,オーストラリアなど旧世界の熱帯や亜熱帯に広い分布をもつ。北海道を除く日本各地の海岸の砂地に生える。幹は長く砂上をはい,直立する枝を出して 50cmぐらいになる。葉は有柄,楕円形で裏面に白毛を密生する。夏に,円錐形の花序を枝先につけ,多数の紫色の花を開く。花は唇形で長さ 13mmぐらい。果実は球形で香気がある。本種の果実を生薬の蔓荊子 (まんけいし) といい,漢方で解熱,強壮,清涼剤とする。また民間で浴湯料とする。

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