海岸植物(読み)かいがんしょくぶつ

精選版 日本国語大辞典 「海岸植物」の意味・読み・例文・類語

かいがん‐しょくぶつ【海岸植物】

  1. 〘 名詞 〙かいひんしょくぶつ(海浜植物)

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百科事典マイペディア 「海岸植物」の意味・わかりやすい解説

海岸植物【かいがんしょくぶつ】

海岸砂地岩壁に生活する植物。一般に葉は厚く,クチクラ発達し,耐乾性耐塩性の強いものが多い。特に砂地のものでは根の発達もよく,塩生植物が多い。気候が同緯度の内陸に比べて温暖で,温度変化も小さいので,植物分布の北限は内陸部より高緯度に達する。砂地にはえるものとしてはコウボウムギハマヒルガオハマゴウハマボウフウなどが,岩壁にはえるものとしてはトベラフジナデシコラセイタソウなどが代表的。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「海岸植物」の意味・わかりやすい解説

海岸植物
かいがんしょくぶつ

海岸の砂浜、断崖(だんがい)、塩沼地などの特異な立地に生育する植物をいう。波の打ち寄せる砂浜には、砂地性の群落が発達し、波打ち際から内陸へと植物の種類が変わる(帯状分布)。太平洋側と日本海側、あるいは風による砂浜の砂の飛ばされ方の違いによって植物種は異なるが、一般的には、波打ち際から内陸へ向けて、まずコウボウムギやハマニンニクが生育し、ついでオニシバハマニガナ、そしてケカモノハシ、さらにクロマツ林あるいはカシワ林となる。コウボウムギなどの地下部は砂の移動、集積に耐えて生活できるようになっている。

 本州中部の発達した海岸林ではマサキ、トベラなどの低木が前縁に、後方にはヤブニッケイ、タブなどの高木が帯状に分布する。トベラなどの前縁の植物は、強い塩風で枝が枯れても再生する。また海岸崖地(がけち)には葉肉の厚いワダン、ツワブキなどの崖地性の群落がみられる。また、まれにアッケシソウなどの塩生植物の生活する塩沼群落も、海岸でみられることがある。

[小滝一夫]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「海岸植物」の意味・わかりやすい解説

海岸植物
かいがんしょくぶつ
beach plant

海浜に限って分布する植物をさす。砂地に生える耐乾性の強いものや,塩分に対する抵抗性の強い塩生植物で,ハマエンドウ,ハマヒルガオ,コウボウムギ,アッケシソウ,マツナなどがある。一般に根は長く,葉は厚く肉質化することが多い。なおヒルギの類のように,好んで海岸の泥沼状のところに生育して膝根を生じて繁茂し,いわゆるマングローブ (紅樹林) を形成するものもある。

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