日本大百科全書(ニッポニカ) 「ハマビシ」の意味・わかりやすい解説
ハマビシ
はまびし / 浜菱
[学] Tribulus terrestris L.
ハマビシ科(APG分類:ハマビシ科)の一年草。茎は基部で分枝して地上を広がり、長さ1メートルに達する。葉は対生状で左右大きさが異なり、偶数羽状複葉、基部に托葉(たくよう)がある。小葉は長楕円(ちょうだえん)形で長さ0.7~1.5センチメートル。夏、葉腋(ようえき)ごとに小さな黄色花を1個ずつ開く。花冠は放射相称で径約1センチメートル。萼片(がくへん)、花弁ともに5枚、雄しべ10本、雌しべ1本。果実は木質で堅い刺(とげ)があり、5個の分果に分かれる。関東地方以西の本州から沖縄の海岸に生え、熱帯から暖帯の海岸や内陸の乾いた場所に広く分布する雑草で、果実の刺が鋭く、はだしで歩く熱帯地方の住民には、やっかいな植物である。名は、海浜に生え、分果の形がヒシ(ヒシ科)の果実に似ることに由来する。ハマビシ科は地中海沿岸や西アジアの乾燥地に多く、約22属300種知られる。
[山崎 敬 2019年10月18日]
APG分類でもハマビシ科とされる。ハマビシ科が含まれるハマビシ目はマメ目に近縁とされる。
[編集部 2019年10月18日]