本来は〈医師の手伝いをする〉という意味の形容詞であるが,医師,歯科医師以外の医療従事者を指すパラメディカル・スタッフparamedical staffの意味で用いられることが多い。さらに最近では,〈協力〉を前面に出した言葉としてコメディカルcomedicalを用いることも多くなってきた。
パラメディカルは診療所や病院に働く人たちのうち,医師や歯科医師を除いた人たちを指し,看護婦,薬剤師,診療放射線技師,臨床検査技師,理学療法士,歯科技工士,歯科衛生士などのように,国家試験や都道府県試験を経てライセンスを取得すべき職種が中心となって構成される。しかし,近年は言語治療士,診療録管理士,医療ソーシャル・ワーカー,経営・管理事務職など,ライセンスを要しない職種も増加しつつある。パラメディカルの構成は,基本的には医療労働における技術的水準と組織的水準によって決められる。医学の進歩と医療機関の大規模化に伴って,医療従事者の職種分化が急速に進み,病院においては30から40に及ぶ職種の人たちが働くようになってきている。また,パラメディカルの構成はその国の医療政策の影響をも受ける。日本の場合には,医療保険の診療報酬体系が,一般的にいって,薬や機械などの物の消費を点数として重視し,診察や相談,指導などにおける医療従事者の〈労働能力〉(一般に〈技術料〉と呼ばれる)を低く評価しているため,他の国々と比較した場合に,薬剤師,検査関係職種は多いが,対人サービスに携わる医療ソーシャル・ワーカーや看護職員(とりわけ訪問看護分野)やリハビリテーション関係職種が少なくなっている。パラメディカルがもつ問題に,職種間の関係がある。長い間,医師を頂点とする指令-従属のいわゆる縦の関係が続いたが,近年,職種が増え,人数も増え,権利意識の浸透や民主的な職場環境確立などの気運が世間一般に広まるにつれ,医師を調整役として業務を分担しあうという,いわゆる横の関係へと変わりつつある。コメディカルという用語の登場やパートナーシップという考え方の広がりは,この変化を反映している。医療従事者内部での民主的関係の確立は,医療機関内にとどまらず,患者の諸権利を尊重する医療サービスの実現にも深い関連をもっている。
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執筆者:日野 秀逸
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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