厚生労働大臣の免許を受けて、医師または歯科医師の指示のもとに、放射線の人体に対する照射(撮影を含み、照射機器を人体内に挿入して行うものを除く)をすることを業とする者(診療放射線技師法2条2項)。略称RT。
診療放射線技師は国家資格である。診療放射線技師になろうとする者は、診療放射線技師国家試験に合格し、厚生労働大臣の免許を受けなければならない(同法3条)。国家試験の受験資格を得るには、文部科学大臣が指定した学校や都道府県知事の指定した専門学校(診療放射線技師養成所)で診療放射線技師として必要な知識および技能を修習しなければならない。試験科目としては、基礎医学大要、理工学・放射線科学、エックス線撮影機器学、エックス線撮影技術学、診療画像検査学、画像工学、医療画像情報学、核医学診療技術学、放射線治療技術学、放射線安全管理学および医療安全管理学が指定されている。
診療放射線技師がかかわるおもな業務には、一般X線撮影、マンモグラフィ(乳房撮影)、CT検査(コンピュータ断層撮影)、放射線治療、RI検査(核医学検査)、MRI検査(磁気共鳴画像診断)、超音波検査(エコー)、および画像データの管理などがある。2021年(令和3)、診療放射線技師法の一部改正により、静脈路に造影剤注入装置を接続する際に静脈路を確保する行為などが業務範囲に追加された。診療放射線技師は画像診断や関連する治療に重要な役割を担っており、近年の各医療専門職の活用、タスクシフト/シェアによる医師の負担軽減の流れを背景に業務範囲は拡大しつつある。
[前田幸宏 2024年11月18日]
略して放射線技師ともいう。診療放射線技師とは厚生大臣の免許を受けて,病院,各種医療機関,保健,福祉機関において,医師または歯科医師の指示の下に,放射線を人体に対して照射(画像診断,治療のため)することと磁気や超音波を用いて検査することを業とする者で,医療および公衆衛生の普及および向上に寄与することを目的にしている。特に放射線は人体の内部構造の検査や癌などの治療に有効な手段であるが,利用を誤れば放射線障害をひきおこす可能性もあるため,人体に対して放射線を照射することができるのは,医師,歯科医師と診療放射線技師のみに限られている。1951年に制定された診療エックス線技師法を基に,1968年にX線のみならず,α線,β線をはじめとする放射線を医療(診断,治療)に用いるために診療放射線技師法として発足した。さらに1993年磁気共鳴画像診断装置や超音波診断装置,眼底カメラの検査業務を範囲に入れた。診療放射線技師の資格を得るには国の指定した大学,短大等において3年以上必要な知識および技能の修習を終え国家試験を受ける。診療放射線技師養成施設数38施設。診療放射線技師数約4万人。1997年現在。診療エックス線技師は同法の廃止により,ごくわずか存在するのみである。
執筆者:金場 敏憲+蜂屋 順一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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