パレンケ(読み)ぱれんけ(英語表記)Palenque

日本大百科全書(ニッポニカ) 「パレンケ」の意味・わかりやすい解説

パレンケ
ぱれんけ
Palenque

メキシコ南部チアパス州西部にある古典期のマヤ遺跡。1987年に世界遺産の文化遺産として登録されている(世界文化遺産)。1952年「碑文の神殿」から、ひすいの面をかぶった王者の地下墳墓が発見され、その後碑文の解読がアメリカの学者たちにより精力的に行われて、パレンケ王朝の歴史の一部が解明された。埋葬された王は、紀元683年に80歳で死んだパカルであり、その子チャン・バアルムの時代に彼を葬るため神殿が建てられた。また同じ時代に、「太陽の神殿」、「十字の神殿」、「葉状十字の神殿」などの、パレンケを代表する優美な建物も建てられた。王や貴族住居だったと考えられる「宮殿」は、パカルの時代に建設が始まって、その後の王たちの手で次々に建て増しされたらしい。マヤ建築で唯一の4階の塔が付属している。パレンケの勢力は、764年に即位したクック王の時代に衰退に向かったらしい。パレンケでは、ティカルコパンなどにみられる独立した碑石でなく、建物の壁やパネルに文字記録が彫刻されているのが特色である。

増田義郎


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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