改訂新版 世界大百科事典 「フェラリ」の意味・わかりやすい解説
フェラリ
Ludovico Ferrari
生没年:1522-65
イタリアの代数学者。四次の代数方程式の解法の発見者として知られる。正式の教育は受けなかったが,主人であったG.カルダーノにラテン語,ギリシア語,数学の訓練をほどこされ,優れた才能を示した。家庭教師で生計を立てていたが,死の直前の1年間はボローニャ大学の数学講師のポストに就任した。フェラリは何より,三次方程式の解法の公表を巡るN.タルターリアとの論争によって著名である。カルダーノはタルターリアが三次方程式の解法を見いだしたことを耳にし,教授を願い出たところ,秘密にすることを条件にその解法を与えられた。その後,カルダーノとフェラリは,三次方程式の解は,すでにフェロS.Ferroによって得られていたことをフェロの手稿を検討することから確認,解法はカルダーノの《大技法》(1545)に公表された。タルターリアは破約に怒り,《様々な問題と発明》(1546)の中でカルダーノを譴責(けんせき)した。師の陣営についたフェラリは,カルダーノの行いが正当であると述べるとともに,数学上の諸問題をタルターリアに提出することによって,数学的技量上の対決を申し出た。フェラリはこの対決によってタルターリアに勝るとも劣らない力量を示したといわれる。フェラリの四次方程式の解法は前記の《大技法》の中で公表されているが,後にボンベリR.Bombelliの《代数学》(1572)の中で一般化されている。
執筆者:佐々木 力
フェラリ
Luc Ferrari
生没年:1929-2005
フェラリ
Giuseppe Ferrari
生没年:1811-76
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報