日本大百科全書(ニッポニカ) 「フェーブル」の意味・わかりやすい解説
フェーブル
ふぇーぶる
Lucien Febvre
(1878―1956)
フランスの歴史家。ナンシーに生まれる。ディジョン大学、ストラスブール大学、コレージュ・ド・フランスの教授を歴任。その研究領域は経済史、社会史から思想史、心性史にまで及んでいるが、事実の考証を中心とした政治史優位の伝統史学を批判し、明確な問題設定による人間活動の総体的把握を提唱した。1929年マルク・ブロックとともに『経済社会史年報』を創刊し、他の人間諸科学との提携による新しい歴史学の建設を目ざした。第二次世界大戦後も47年以降、高等研究院経済・社会科学部門の責任者として学界で指導的役割を果たした。主著として『フェリペ2世とフランシュ・コンテ』(1911)、『大地と人類の進化』(1922)、『ある運命――マルティン・ルター』(1928)、『16世紀における不信仰の問題――ラブレーの宗教』(1942)、歴史論集『歴史のための闘争』(1953)などがある。
[服部春彦]