日本大百科全書(ニッポニカ) 「サルスティウス」の意味・わかりやすい解説
サルスティウス
さるすてぃうす
Gaius Sallustius Crispus
(前86―前34)
古代ローマの歴史家。イタリア半島中部のサビニ人の都市アミテルヌム出身。初め元老院議員としての経歴を歩み、カエサルに心服。カエサルとポンペイウスとの内乱では前者に従い、のち紀元前46~前45年にはアフリカ・ノワ州の総督を務めた。前44年にカエサルが暗殺されると政界を退き、歴史著述に専念した。作品としては、前60年代の政治事件を扱った『カティリナの陰謀』De Catilinae Coniuratione、前111~前105年のヌミディア王ユグルタとローマとの戦争を扱った『ユグルタ戦記』Bellum Jugurthinumが現存。前78~前67年のローマ史を扱った『歴史』Historiaeは大部分が散逸した。ほかに『キケロ弾劾演説』Invectiva in Ciceronemと『カエサル宛(あて)書簡』Epistulae ad Caesarem2編とが現存するが、いずれも真作か偽作かが争われている。彼はすでに古代から大歴史家としての定評がある。
[吉村忠典]