日本大百科全書(ニッポニカ) 「ブスケ」の意味・わかりやすい解説
ブスケ
ぶすけ
Joë Bousquet
(1897―1950)
フランスの詩人。第一次世界大戦に従軍して重傷を負い、1918年以降、麻痺(まひ)した体を南仏カルカソンヌの自宅に横たえたまま、省察と詩作に生涯を過ごした。神秘的幻想と、穏やかな諦念(ていねん)の織り成す純粋な詩境は、詩集『夕べの認識』(1947)にみられるが、その他の数多い著作は、感想とも物語ともつかぬ散文詩風の瞑想(めいそう)録で、さまざまな思念が緩やかで音楽的な文体にのってとめどなく流れる美しい書物である。なかでも『風の花嫁』(1928)、『冬の夜の会合』(1933)、『幼年追慕』(1939)、『沈黙の語ること』(1941)などが知られる。
[安藤元雄]