ブラッサイ(読み)ぶらっさい(英語表記)Brassaii

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ブラッサイ」の意味・わかりやすい解説

ブラッサイ
ぶらっさい
Brassaii
(1899―1984)

ハンガリー出身のフランスの写真家。本名ギュラ・ハラシュGyula Halász。トランシルバニアのブラッソ(現ルーマニア領)生まれ。ブダペストベルリンで絵画を専攻したのち、1923年パリに出るが、それを機にブラッソ出身の男の意であるブラッサイを名のる。パリで同じくハンガリー出身のアンドレ・ケルテスに出会い、ジャーナリストの仕事と写真の基礎知識を授かり、絵画を放棄して新しい写真の美を求め、モンパルナスの夜の妖(あや)しい魅力を記録した写真集『夜のパリ』を33年に出版して一躍脚光を浴びた。第二次世界大戦でパリが占領されると、ナチスによって屋外撮影が禁止されたこともあって、絵画、彫刻、詩作と多彩な活動を続け、戦後はふたたび写真集『グラフィティ』(1956)でパリの壁の落書きを映像でまとめるかたわら、親交のあったピカソやヘンリー・ミラーのドキュメントをまとめ、貴重な時代の証言を後世に残した。ニースで没。

[平木 収]

『ブラッサイ著、飯島耕一・大岡信訳『語るピカソ』(1968・みすず書房)』『ブラッサイ著、飯島耕一・釜山健訳『作家の誕生 ヘンリー・ミラー』(1979・みすず書房)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ブラッサイ」の意味・わかりやすい解説

ブラッサイ
Brassaï

[生]1899.9.9. ブラッソー
[没]1984.7.8. ニース
ハンガリー生れのフランスの代表的写真家,詩人彫刻家。本名 Gyula Halász。ブラッサイという呼び名は生地に由来する。初め画家を志してブダペストとベルリンの美術学校に学んだが,1924年以来パリに住み,30年頃から写真家に転向。 33年 P.モーランの詩を付した写真集『夜のパリ』を発表。第2次世界大戦後,作品集『ブラッサイ』 (1954) を出版,このほか写真による舞台装飾などを試みた。

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