日本大百科全書(ニッポニカ) 「ブランデン」の意味・わかりやすい解説
ブランデン
ぶらんでん
Edmund Charles Blunden
(1896―1974)
イギリスの詩人、批評家。ケント州に生まれる。1916年ロイヤル・サセックス連隊中尉として従軍。第一次世界大戦後オックスフォード大学に復帰し、学位を取得。24年から27年まで東京帝国大学英文学教授となる。第二次大戦後、47年から50年までイギリス文化使節としてふたたび来日し、各地で講演。53年から64年まで香港(ホンコン)大学の英文学教授。66年から68年までオックスフォード大学詩学教授となる。イギリスの伝統的な、田園風で優雅な叙情詩人たち、いわゆる「ジョージ朝詩人」の1人として出発。68年刊の詩集『真夜中のスケート滑り』の表題詩のように、哲学的陰影をもつ優れた瞑想(めいそう)詩もある。イギリスの詩人に関する評論や、詩集の編集も多く、とくにジョン・クレアの紹介やトマス・ハーディ再発見に貢献した。晩年はサフォーク州サドベリの北部ロングメルフォードの町に隠棲(いんせい)した。
[羽矢謙一]
『斎藤美洲編著『イギリス文学史序説』(1978・中教出版)』