ベテフチン鉱(読み)べてふちんこう(その他表記)betechtinite

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ベテフチン鉱」の意味・わかりやすい解説

ベテフチン鉱
べてふちんこう
betechtinite

銅(Cu)、鉛(Pb)と少量の鉄(Fe)を含む特異な複硫化物。1955年の原記載ではCu10(Fe,Pb)S6という式が用いられていたが、この式では測定比重と計算比重の差が大きすぎ、当初から問題があった。1959年結晶構造の決定により(Cu,Fe)21Pb2S15という式に改められた。その後さらに(Cu,Fe)10PbS6+xという式も提唱されている。自形c方向に伸びた針状。伸びの方向に平行に条線が発達する。

 日本では山形県南陽(なんよう)市吉野鉱山(閉山)の黒鉱鉱床から産するが、原産地ドイツのマンスフェルトMansfeldではいわゆる含銅頁岩(がんどうけつがん)中に細脈をなし、その後世界各地の深成熱水鉱脈型銅鉱床から産出が報告されている。共存鉱物は斑銅(はんどう)鉱、輝銅鉱(おそらくかなりの部分はデュルレ鉱と思われる)、黄銅鉱、方鉛鉱、自然銀、閃(せん)亜鉛鉱、重晶石、方解石、天青(てんせい)石など。同定は純黒色あるいは濃鉛灰色という感じの黒さと、比較的強い金属光沢による。条痕(じょうこん)は暗鉛黒。針状自形で出現する場合は先細りになることもある。針状結晶柱面に沿う方向で直交する劈開(へきかい)と、柱面の伸びの方向に直交する劈開があるので、針状結晶を壊すと、破面平滑になった結晶が出現する。塊状で出現した場合は外観や比重、硬度では輝銅鉱に似るが、これより青味がなく、光沢は強く、もろさがあって粉末になりやすい。命名はロシア鉱物学・鉱床学者アナトーリ・ゲオルゲビッチ・ベテフチンAnatoliy Georgievich Betekhtin(1897―1962)にちなむ。

[加藤 昭 2018年7月20日]


ベテフチン鉱(データノート)
べてふちんこうでーたのーと

ベテフチン鉱
 英名    betechtinite
 化学式   (Cu,Fe)21Pb2S15
 少量成分  Ag
 結晶系   斜方(直方)
 硬度    3~3.5
 比重    6.14
 色     暗鉛黒
 光沢    金属
 条痕    黒
 劈開    三方向
       (「劈開」の項目を参照)

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最新 地学事典 「ベテフチン鉱」の解説

ベテフチンこう
ベテフチン鉱

betekhtinite

化学組成(Cu, Fe)21Pb2S13の鉱物。直方晶系,空間群Immm, 格子定数a1.467nm, b2.280, c0.385, 単位格子中4分子含む。黒色,金属光沢,2cm以下の針状,塊状。劈開は3方向にあり,硬度3~3.5, 比重5.96~6.05(測定値),6.14(計算値)。斑銅鉱・輝銅鉱・黄銅鉱・方鉛鉱・自然銀・天青石・硬石膏・方解石などとともに,鉱脈鉱床・黒鉱鉱床から産出。ロシアの鉱物・鉱床学者A.G.Betekhtin(1897~1962)にちなみ命名。

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出典 平凡社「最新 地学事典」最新 地学事典について 情報

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